日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

中華人民共和国兵役法 第十二章 附則

第十二章 附則


第七十二条 
本法は中国人民武装警察部隊へ適用する。


第七十三条
中国人民解放軍は需要に応じて文官幹部を配備する。本法の軍官関係規定は文官幹部へ適用する。


第七十四条
本法は1984年10月1日より施行する。

中華人民共和国兵役法 第十一章 法律責任

第十一章 法律責任


第六十六条
兵役服務義務を有する公民で下記の一に該当する者は、県級人民政府によって期限までに行いを正される。期限を過ぎても改まらない者は、県級人民政府によって兵役義務履行を強制され、さらに罰金を以て処罰され得る。
 (一)兵役登記および体格検査を拒絶、逃避する者
 (二)応徴公民で徴集を拒絶、逃避する者
 (三)予備役人員で軍事訓練への参加、軍事勤務および応召を拒絶、逃避する者
前款第二項の行為を為し、行いを改めない者は、公務員あるいは公務員法規定下の職種へ採用することを得ず、二年の内、出国あるいは進学することを得ず。
国防生で養成協議規定に違反し、相応の義務を履行しない者は、法により違約責任を課され、情状により所属学校より退学等の処分がなされる。卒業後、現役服務を拒絶する者は、法により違約責任が課され、本条第二款の規定により処理される。
戦時、本条第一款第二項、第三項あるいは第三款の行為を為し、犯罪を構成する者は、法により刑事責任を追及される。


第六十七条
現役軍人で兵役服務逃避を目的とし、職責履行を拒絶しあるいは部隊より逃亡する者は、中央軍事委員会の規定により処分される。犯罪を構成する者は、法により刑事責任が追及される。
現役軍人で前款の行為を為し軍隊を除名、軍籍解除あるいは法により刑事責任を追及された者は、公務員あるいは公務員法規定下の職種へ採用することを得ず、二年の内、出国あるいは進学することを得ず。
部隊より逃亡の軍人と知りつつ雇用した者は、県級人民政府により行いを正され、罰金を以て処罰される。犯罪を構成する者は、法により刑事責任を追及される。


第六十八条
機関、団体、企業単位で本法規定の兵役業務任務の完遂を拒絶するもの、公民の兵役義務履行を妨害するもの、退役現役軍人の収容、安置を拒絶するもの、あるいはその他兵役業務を妨害するものは、県級以上地方人民政府により行いを正され、罰金を以て処罰され得る。単位責任者、直接管轄者およびその他直接責任を有する者は、法により処罰される。


第六十九条
兵役業務の秩序を撹乱し、あるいは兵役業務者の職務執行を妨害する者は、治安管理処罰法の規定に照らして処罰される。暴力、威嚇方法を用い、犯罪を構成する者は、法により刑事責任を追及される。


第七十条
国家業務者および兵役業務中の軍人で、以下の一に該当し、犯罪を構成する者は、法により刑事責任を追及される。なお犯罪を構成しない者は処分を下される。
 (一)賄賂を収受する者
 (二)職権を乱用しあるいは職務を疎かにする者
 (三)私情にとらわれ不正を働き、不合格兵員を送り出す者


第七十一条
県級以上地方人民政府は本法違反の単位および個人の処罰について、県級以上地方人民政府兵役機関で行政監察、公安、民政、衛生、教育、人力資源および社会保障などの部門と共同で具体的に処理する。


→第十二章 附則

中華人民共和国兵役法 第十章 現役軍人の待遇および現役退出後の処遇

第十章 現役軍人の待遇および現役退出後の処遇


第五十三条
国家は現役軍人がその職務履行に相応しい待遇を享受することを保障する。現役軍人の待遇は国民経済の発展と調和し、社会進歩に対応しなければならない。
軍官は職務軍衙等級給料制を実施し、士官は軍衙級別給料制を実施し、義務兵は供給制生活待遇を享受する。現役軍人は規定の特別手当、補助金および奨励金を受給する。国家は軍人給与の正常な増資機関を設立する。
現役軍人は規定の休暇、療養、医療、住居などの福利厚生を享受する。国家は経済や社会の発展により現役軍人の福利厚生の水準を高める。
国家は軍人保険制度を実施し、社会保険制度に接続させる。軍人は現役期間、規定の軍人保険待遇を享受する。軍人は現役退出後、国家の関係規定に照らして、養老、医療、失業等の社会保険体系に加入し、相応の社会保険待遇を享受する。現役軍人配偶者は未就業期間、国家の関係規定に照らして、相応の保障待遇を享受する。


第五十四条
国家は就業援助を主とし、自主営業、復旧、退職、扶養および学業継続など多種の方式を結合させた下士官兵現役退出安置制度を完備する。


第五十五条
現役軍人は入隊前、すでに普通高等学校に合格しあるいは就学中の学生であれば、服役期間、入学資格あるいは学籍を保留し、現役退出後二年以内の入学あるいは復学を許可し、国家の関係規定に照らし、奨学金、助学金および学費減免など優待を享受する。入学あるいは復学後、国防生選抜に参加する場合、国家組織の農村基層服務プロジェクトに参加する場合、卒業後軍官選抜に参加する場合、優先して採用される。
義務兵および現役服務十二年未満の士官で入隊前、機関、団体、企業事業就職者あるいは労働者であった者は、服役期間、人事関係あるいは労働関係を保留する。現役退出後、復職を選択できる。
義務兵および士官は、現役期間、入隊前法により取得した農村土地請負経営権を保留しなければならない。


第五十六条
現役軍人、傷痍軍人、退出現役軍人、烈士、公務により病没した軍人遺族、現役軍人家族は、社会的尊敬を受け、国家および社会の優待を受けるべきである。軍官、士官の家族の帯同、就業、転勤および子女教育は、国家および社会の優待を受ける。


第五十七条
現役軍人で戦争、公務、病気により障害が残った者は、国家規定に照らして、傷痍等級を評定し、傷痍軍人証を発給し、国家規定の待遇および傷痍慰恤金を享受する。任務の必要により現役服務を継続する傷痍軍人は、所在部隊で規定に照らして傷痍慰恤金を給与される。
現役軍人で戦争、公務、病気により障害が残った者は、国家規定の傷痍等級評定に照らして、仕事提供、扶養、退職などの方法で適切に対処される。労働能力を有する現役退出の傷痍軍人は、国家規定の障害者就業優遇政策を優先して享受する。
傷痍軍人、慢性病を患う軍人の現役退出後、住所地の県以上の地方人民政府で国務院、中央軍事委員会の関係規定に照らして受け入れの責任を負う。その中、慢性病を過去に患い病気が再発し治療が必要な者は、当地の医療機関で治療、必要とするところの医療および生活費を給与する責任を負い、本人が経済困難に陥った者は、国家規定に照らして扶助が給与される。
現役軍人、傷痍軍人が遊覧公園、博物館、展覧館、名勝古跡を参観する場合、優待を享受する。優先して入場券を購入し、境内運行の列車、汽船、長距離列車、民営旅客機に搭乗する。その中、傷痍軍人は規定に照らして正規料金の割引優待を受け、市内公共バス、電車など交通機関の無料で利用する。義務兵が部隊から普通郵便を出す場合、無料で配達する。


第五十八条
義務兵の現役服務期間、その家庭は当該地人民政府より優待を受ける。優待標準は当地の平均生活水準を下らず、具体的方法は省、自治区、直轄市人民政府の規定による。


第五十九条
現役軍人が殉職、病没した場合、国家よりその遺族へ一時慰恤金が給与される。その遺族に固定収入が無く、生活を維持できない場合、あるいは国家規定のその他条件に符号する者は、国家より別に定期慰恤金が給与される。


第六十条
義務兵が現役を退出する場合、国家規定に照らし、退役金を給与し、住所地の県以上の地方人民政府において受け入れ、当地の実情状況により、経済補助を給与できる。
義務兵が現役を退出する場合、住所地の県以上の地方人民政府は参加無料職業教育、技能訓練を組織すべきであり、試験審査合格の者は、相当の学歴証書、職業資格証書を発給され、職業の推薦を受ける。現役退出義務兵の職業は、国家扶助、優遇政策を享受する。
義務兵が現役を退出する場合、中等職業学校へ試験免除入学でき、普通高等学校の受験を申し込み、成人教育を受ける者は、加点およびその他優遇政策を享受できる。国家規定の年限内で普通高等学校へ入学あるいは中等職業学校へ入学したは、国家給与の助学金を享受する。
義務兵が現役を退出する場合、公務員を受験する者、事業の招請に応じる者は、軍隊での現役服役の経歴は職歴の一端とみなされ、同等の条件で優先採用あるいは招聘しなければならない。
現役服務期間に平時栄誉二等功以上あるいは戦時栄誉三等功以上の受勲者および烈士子女に属する者および戦傷評定五級から八級の義務兵現役退出者は、県以上の地方人民政府
の就労手続きの上に受け入れられる。就労手続き待機期間、当地の人民政府は、国家の関係規定に照らして生活補助費を給与する。本人の志願により自主就業を選択した者は、本条第一項ないし第四項の規定により取り扱われる。
国家は経済社会の発展水準により、適時、退役金の標準を調整する。現役退出下士官兵の受け入れに要する費用は、中央および地方各級人民政府が共同で負担する。


第六十一条
士官が現役を退出する場合、現役服務が十二年未満の者は、本法第六十条規定に照らして、受け入れられる。
士官が現役を退出する場合、現役服務が十二年を満たす者は、住所地の県以上の
地方人民政府が就労手続きをする。
就労手続き待機期間中、国家の関係規定に照らして、生活補助費が給与する。本人の志願により自主就業を選択した者は、本条第一項ないし第四項の規定により取り扱われる。
士官の現役服務が三十年あるいは年齢五十五歳を満たす者は、定年となる。
士官で現役服務期間、戦争、公務、傷病により障害が残り労働能力を喪失した者は、国家の関係規定に照らして受け入れられる。


第六十二条
下士官兵の現役退出受け入れの具体的方法は、国務院、中央軍事委員会の規定による。


第六十三条
軍官が退出する場合、国家は転職、復員、退職などの方法を採り、適切に受け入れる。転職する者には、関係規定に照らして計画的配置および自主選択の結合方式を実施する。復員する者は、関係規定に照らして住所地人民政府で受け入れ、関係する就業優遇政策を享受する。退職条件に符号する者は、現役退出後、関係規定に照らして退職措置をとる。
軍官が現役服務期間、戦争、公務、傷病により障害が残り労働能力を喪失した者は、国家の関係規定に照らして受け入れられる。


第六十四条
機関、団体、企業事業単位は現役退出軍人を受け入れる義務を有し、職員を招聘採用、労働者を雇用するときは、同等条件の下に現役退出軍人を優先的に招聘採用する。
本法第六十条、第六十一条、第六十三条規定の現役退出軍人受け入れについて、国家受け入れ任務および要求に照らして、しっかり徹底しなければならない。
軍人の現役服務年限は勤続年数として計算し、現役退出後、所属単位で勤続年数として累計する。
国家は機関、団体、企業事業単位の現役退出軍人受け入れを奨励、支持する。受け入れ単位は国家規定に照らして、税収優遇などの政策を享受する。


第六十五条
民兵、予備役人員で参戦、軍事訓練参加、軍事勤務実施により殉職、障害が残った者、学生で軍事訓練参加により死亡、障害が残った者は、当該地の人民政府で軍人慰恤優待条例の関係規定に照らして慰恤優待を給与される。


兵役義務遂行に伴う権利が兵役法の中に明記されている。戦前日本では、同権利が兵役法に明記されることを嫌った。兵役と引き換えに権利が発生するという図式を嫌ったのだ。兵役をあくまで滅私奉公的なものとしておきたかったのだ。


→第十一章 法律責任

中華人民共和国兵役法 第九章 戦時兵員動員

第九章 戦時兵員動員


第四十九条
敵の突然の襲撃に対処し、侵略に抵抗するため、各級人民政府、各級軍事機関は、平時より戦時兵員動員の準備作業を遂行しなければならない。


第五十条
国家の動員令発布以後、各級人民政府、各級軍事機関は、迅速に動員を実施しなければならない。
(一) 現役軍人は現役退出、休暇を停止し、帰省している軍人は即刻、帰隊しなければならない。
(二) 予備役人員、国防生は応召、現役に服する準備をし、通知到着後、時間通りに指定地点に出頭しなければならない。
(三) 機関、団体、企業事業単位および郷、民族郷、鎮の人民政府責任者は、当該単位徴召の予備役人員を組織し、規定の時間、地点に照らして届け出る。
(四) 交通運輸部門は応召予備役人員、国防生および帰隊現役軍人を優先して輸送しなければならない。


第五十一条
戦時、必要により、国務院および中央軍事委員会は三十六歳から四十五歳までの公民男子を徴召し現役に服させることができ、公民の現役服務期間の延長を決定することができる。


第五十二条
戦争終結後、復員を要する現役軍人は、国務院および中央軍事委員会の復員命令により、時間、人数を区分し現役を退出し、各級人民政府が適切に受け入れる。


→第十章 現役軍人の待遇および現役退出後の処遇

中華人民共和国兵役法 第八章 普通高等学校および普通高中学生の軍事訓練

第八章 普通高等学校および普通高中学生の軍事訓練


第四十五条
普通高等学校の学生は就学期間、基本軍事訓練を受けなければならない。
国防建設の必要により、軍官任務担任に適合する学生に対し、再度短期集中訓練を実施し、試験合格者は、軍事機関の承認を経て、軍官予備役に服する。


第四十六条
普通高等学校は軍事訓練機構を設け、軍事教員を配備し、学生の軍事訓練を組織実施する。
第四十五条第二項規定の予備役軍官養成短期集中訓練は、軍事部門派遣の現役軍官と普通高等学校軍事訓練機構が共同で組織実施する。


第四十七条
普通高中および中等職業学校は、軍事教員を配備し、学生に対し軍事訓練を実施する。


第四十八条
普通高等学校および普通高中学生の軍事訓練は、教育部、国防部において責任を負う。教育部門および軍事部門は学生軍事訓練の実施機構あるいは専門職を配備し、学生軍事訓練を請け負う。


中国の大学では、入学当初、二週間ほど軍事訓練が行われる。主に行軍を行うようである。


→第九章 戦時兵員動員

中華人民共和国兵役法 第七章 予備役人員の軍事訓練

第四十一条
予備役下士官兵の軍事訓練は、現役部隊、予備役部隊、民兵組織あるいはその他組織形式での実施を採用する。
現役予備が、予備役部隊および基幹民兵組織の予備役下士官兵へ編入の場合、十八歳から二十四歳まで、三十日から四十日の軍事訓練に参加しなければならない。その中、専門技術兵の訓練期間は実際の必要により確定する。現役に服したことがあるおよび軍事訓練を受けたことがある予備役下士官兵の復習訓練、その他予備役下士官兵の軍事訓練は、中央軍事委員会の規定に照らして実施する。


第四十二条
予備役軍官は予備役服務期間、三ヶ月から六ヶ月の軍事訓練に参加しなければ
ならない。現役部隊予備および予備役部隊任職の者は、軍事訓練参加期間は
適宜延長できる。


第四十三条
国務院および中央軍事委員会は必要があるとき、予備役人員の緊急訓練への参加を決定できる。


第四十四条
予備役人員の軍事訓練参加、軍事勤務実施の食事、交通などの補助費は、国家の関係規定に照らして取り扱う。予備役人員で機関、団体、企業事業就労人員あるいは労働者に対しては、軍事訓練参加、軍事勤務実施期間、その所属単位がそのもとの給料、奨金および福利待遇を維持しなければならない。その他予備役人員の軍事勤務参加、軍事勤務実施による仕事の遅延に対する補償は、国家の関係規定に照らして実施する。


戦前日本においては、軍事訓練中の給料保障は兵役法とは別の法で規定されており、保障意識も弱かった。兵役法の中に規定されているほうが保障意識は高い。


→第八章 普通高等学校および普通高中学生の軍事訓練

中華人民共和国兵役法 第六章 民兵

第六章 民兵


第三十八条
民兵は現場的群衆武装組織であり、中国人民解放軍の補助および後備武力である。
民兵の任務は、
(一) 社会主義現代化建設への参加
(二) 戦備勤務遂行、防衛作戦への参加、侵略への抵抗、祖国防衛
(三) 現役部隊として兵員を補充する
(四) 社会秩序を協力維持し、救助活動に参加する


第三十九条
郷、民族郷、鎮、街道および企業事業単位で民兵を組織する。すべて十八歳から三十五歳まで兵役服務条件に符合する公民男子で、所在地人民政府兵役機関の民兵組織編入の確定を経た者は、民兵組織に参加しなければならない。
必要により、十八歳以上の公民女子、三十五歳以上の公民男子を受け入れ、民兵組織に参加させることができる。
国家の動員令発布後、動員範囲内の民兵は、民兵組織を離脱することができない。所在地の県、自治県、市、市轄区の人民政府兵役機関の承認を経ずには、民兵組織所在地を離れることはできない。


第四十条
民兵組織は基幹民兵組織と普通民兵組織に分かれる。基幹民兵組織は民兵組織の骨幹武力であり、主に現役退出下士官兵および軍事訓練を経た者、軍事訓練参加に選定の者あるいは専門技術特技を有する現役未服役者から組織される。基幹民兵組織は一定区域内でいくつかの単位から人員を抽選し編成することができる。普通民兵組織は、兵役服務条件に符合し基幹民兵組織に参加しない公民より地域あるいは単位に照らして編成される。


→第七章 予備役人員の軍事訓練