日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

徴兵制

両院協議会で妥協案成立

両院協議会で妥協案が成立した。同案は上院および下院において承認され、大統領の裁可によって法律となった。常備兵数は平時17万、義勇兵条項は削除、硝石製造所設立、連邦所管州兵約42万新設である。 「上院ニ於テ修正セラレタル『ヘー』氏陸軍拡張法案送付…

上院チェンバレン法案VS下院ヘイ法案

陸軍再編に関する議会の議論は上院案と下院案の対立に至った。両案は州兵の連邦所管化の点では一致していたが、常備兵力数については大きな懸隔があった。また上院案ではガリソン元長官案同様の連邦義勇兵創設が盛り込まれていた。なお、チェンバレン宿案の…

州兵連邦所管化案の浮上

ガリソン大陸軍計画は大統領の支持を得られず、ガリソンは陸軍長官を辞任した。代わって議論の俎上に上ってきたのが、州兵の連邦所管化案であった。下院軍事委員会は州兵連邦所管化を中心とする再編案を採用し、一方、上院軍事委員会では、常備軍拡大を立法…

ガリソン陸軍長官、大陸軍計画を推進

ガリソン陸軍長官は、チェンバレンと軍備増強の点で一致していたが、軍事訓練義務化については、現状では困難であるとしてその実現を悲観視していた。その代わりに、志願兵徴募による大陸軍計画を提案した。しかし大統領はその計画を支持していなかった。 Ne…

第一次大戦期アメリカ年表

年 月日 事項 1914 Aug.4 中立を宣言 1915 May.7 ルシタニア号、沈没 Sep.6 ハイチを保護国化 Sep.18 ドイツ、米国に配慮し潜水艦攻撃を制限 1916 Mar.15 米軍、メキシコ侵入(1917 Feb.5 まで) Mar.24 イギリス、徴兵制導入 Jul.1 ソンムの戦い(Nov.18 まで)…

チェンバレン、軍事教育義務化法案提出

徴兵法導入のきっかけを作ったのは、チェンバレン上院議員であった。1915年末の時点で、チェンバレンは、学校での軍事教育を義務化する法案を提出する。 Spokane Daily Chronicle - Jul 29, 1915 Chamberlain For Increase In Army 28日、上院軍事委員会委員…

各連合国間で相互的徴兵協約締結

草案と比べると、米英協約は相互的な徴兵をよりシンプルに規定している。兵役の互換を認めるような条項は無くなっている。米英協約以後、各連合国間で相互的徴兵協約の締結が進んだ。相互的な徴兵を否定する日本は協約の輪の中に入らなかった。しかし、ハワ…

米政府、まず英国およびカナダと徴兵協約締結

協約草案打診後、米政府は先にまず英国と協定を締結する方針をとった。1918年2月には、協約が調印された。カナダとの協約も同時になされた。しかし3月、協約の批准を前に、上院に国務省からストップがかかった。英国と米国の徴兵適齢の差がさらなる調整を必…

米政府、連合国に徴兵協約草案打診

外国人徴兵を外交交渉を通じて実現させようとする米政府は、連合国に相互的徴兵協約の草案を打診した。日本には9/26に届いている。草案は、在留民の徴兵のための本国帰還か在留国での徴兵を相互に協約するものであった。外務省から意見を求められた陸軍省は…

下院、修正案審議停止、外交交渉で決着へ

ロジャー議員によるチェンバレン決議案の修正には国務長官から中止の要求があり、下院側もそれを容認した。大統領はロジャー案を支持していなかった。結局、外国人徴兵に関しては、国内法で強引に立法化するのではなく、外交交渉を通じ、同盟国の合意を得た…

下院、チェンバレン決議案修正の動き

下院に送られたチェンバレン決議案だが、ロジャー下院議員はその修正を積極的に働きかけた。条約により免除となる外国人をも国外退去させ、永久に市民権を与えないとする、より先鋭化した修正であった。国務省は、そこまでやるのは行き過ぎであり、条約の存…

上院、チェンバレン決議案を採択

チェンバレン決議案がようやく上院での採択に至った。報復的に敵国でアメリカ市民が徴兵されたらどうするという意見もあったが、国内の不公平是正がより重視されたのだろう。大統領が外国人徴兵の支持を表明したことも大きい。日本人に関しては、1911年の日…

マッカンバー決議案とチェンバレン決議案が与える影響の差

両決議案を比べると、チェンバレン決議案の方がより広範囲な外国人を徴兵対象とするものであった。その分、審議には慎重が期されるべきものであった。新たに友好国外国人の入隊志願が許可されたことは、同決議案の審議に影響を与えた。チェンバレン決議案の…

上院、マッカンバー決議案採択

佐藤駐米大使の報告にあったように、マッカンバー決議案がいち早く採択となった。チェンバレン決議案の採択は、友好国外国人の入隊志願を認めるという憲兵司令官の発言もあって、しばらく時間をみることとなる。 The Day - Jul 30, 1917 Alien Draft Bill Re…

日本政府、差別的な決議案の成立を牽制

決議案には、帰化資格がないものとして、日本人を徴兵対象から外す条項があった。これに対して日本政府は、カリフォルニア州外国人土地法の精神と同種の立法は黙過できないとして、国務省に意向を問いただした。国務長官代理からは、帰化権を標準とするもの…

チェンバレン決議案、委員会で可決

チェンバレン決議案の内容については各記事でまちまちで、議事録での確認が必要であろう。27日、軍事委員会が同決議案を可決し、次は本会議での採択へと向かう。28日には、アメリカ市民になれない外国人として日本人および中国人は徴兵免除と修正されるが、…

チェンバレン決議案の行方

しばらく、1917年ごろの米国における外国人徴兵問題について追いたい。 チェンバレン決議案は、多くの支持を得ながら、採決へと向かう。ただ、日本人など条約によって強制的な兵役賦課を禁止されていた外国人の存在が問題点として浮上していた。政府の意向は…

外国人も徴兵対象に・州の外国人比率(Jul 18, 1917)

Chicago Tribune Jul 18, 1917 DRAFT FOR GREAT ARMY IMMINENT 軍事委員会議長、チェンバレン上院議員は、徴兵を敵国外国人を除きすべての者に適用する共同決議の準備を始めた。この措置によれば、123万9865人の外国人がリストに追加されることとなる。下院…

友好国外国人、各国の徴兵対象に(Jul 18,1917)

The New York Times Jul 18,1917 OPENS WAY TO DRAFT A MILLION FOREIGNERS(PDF) 本日、オレゴンのチェンバレン議員によって上院に提議された共同決議では、アメリカにおける友好国外国人は、オーストラリアおよびカナダのように、兵役義務が免除されている…

米国から見た日本の国籍法改正(Jun 12,1916)

The New York Times Jun 12,1916 An Imperial Ordinance Which Will Cure Their Dual Nationality(PDF) 合衆国領内で生まれた日本人は、アメリカ市民であることが、憲法によって保証されているが、日本の議会を通過した国籍法の改正が裁可されるやいなや、彼…

Dual Citizenship(Oct 9,1941)

The Milwaukee Journal Oct 9,1941 Dual Citizenship 二重国籍問題が再び俎上に上っている。第一次大戦中にも深刻化したが、現在、それ以上の深刻化が懸念される。 多くの日系、イタリア系、ドイツ系のアメリカ人はまだ母国によって各々の国民とみなされてい…

国籍法改正に関して(韓国)

KOREA JOONGANG DAILY Nov 13,2009 On changing citizenship laws(魚拓) 韓国法務部は、国籍法を改正し二重国籍の許容範囲の拡大を提言する予定だと発表した。提言の趣旨は、単一国籍政策の制限を緩めることにある。 国外で勤務あるいは研究に従事している…

国外居住者、徴兵回避のため帰省延期(スーダン)

arabnews.com Nov 23, 2010 Sudanese expats skip vacations home to‘escape conscription’(魚拓) 国家を南北分離するか否かに関する国民投票が、来年はじめに予定されている。ジッダにおけるスーダン領事館筋は、政府がすでに強制的徴兵を布告したという…

男子徴兵は合憲(韓国)

koreatimes.co.kr Nov 25,2010 Conscription of men constitutional 男女同権の点から女性もまた男性と同じように徴兵されるべきか。韓国の憲法裁判所は、ノーとの判断を下した。 18歳以上の健康な男子のみに二年間の兵役を命じる韓国の法律は、憲法における…

ドイツ徴兵制停止の行方

ドイツ徴兵制停止の行方に関して、ガーディアンの次の記事は、とても冷やかにみている。 guardian.co.uk Guardian Weekly Letters, 10 December 2010 ドイツは、来夏までに徴集を廃止する。憲法に規定があるため徴兵制自体は廃止できない。改革達成までの道…

セルビア、軍の現代化で徴兵制停止へ

以下は、前記事より、詳しく報道している。 ISA INTEL Dec 1, 2010 Serbia Set to End Conscription as it Modernizes Its Military 徴兵制停止の決定は、次期議会で承認される見込み。 そうすれば来年一月より、兵務は志願制となる。 二世紀に亘る伝統的な…

セルビア国防相、徴兵制廃止を推進

winnipegfreepress.com 2010.12.2 Serbian defence minister urges lawmakers to abolish draft as part of military reform セルビアのDragan Sutanovac国防相が徴兵制廃止を推進。 現政権は、民主党、G17プラスを中心とする親EU派連立政権(国防相は、民主…