日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

アジア歴史資料センターの使い方

1.概要
アジア歴史資料センター(アジ歴)は、国立公文書館、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所図書館所蔵の史料をデジタルアーカイブ化して、ウェブ上に公開しています。
つまりオンライン上から、生の史料をデジタル画像でみることができるわけです。


ただし史料公開は現在も作業中で、アジア歴史資料センターにないからといって、
史料が存在しないことにはなりません。


平成18年10月現在における史料公開数は、約85万3000件・1270万画像となっています。



2.準備
画像をみるには、プラグインのダウンロードが必要ですが、
ウェブサイトのトップから簡単にダウンロードできるでしょう。


なお、タブブラウザSleipnirをお使いの方は、バージョンによって
セキュリティのポップアップブロックの有効を解除しないとみれない場合があります。



3.検索
検索の種類としては、
五十音検索、階層検索、キーワード検索、レファレンスコード検索があります。


五十音検索は、該当数が多く、あまり精度がよくないように思います。


階層検索は、
所蔵機関―分類―簿冊のように、階層から
広くみていくときに使用します。


レファレンスコード検索は、
各史料ごとにコードが付されおり、それを覚えておけば、
検索欄に入力し、すぐ史料を呼び出すことができます。
Aではじまるコードは国立公文書館所蔵史料、Bは外務省外交史料館、Cは防衛研究所図書館です。
各史料をブラウザでブックマークしておけば早いですけどね。


最もよく使うのは、キーワード検索です。
キーワード検索により引っかかる範囲は、以下のとおりです。

  • 簿冊や史料のタイトル
  • 史料冒頭の語句(約300字)
  • アジ歴が各史料に付した分類キーワード


4.使用例
キーワード検索してみましょう。


試しに、「南京 捕虜」と入力してみます。


11件が表示されます。

3番目の【ニューヨーク、タイムス「日本軍の蛮行」を誣ふ】をみてみます。画像閲覧をクリックします。


ズームインすれば、見やすくなります。
ズームしても、画面をドラックすれば、動かして全体をみることができます。

画像は2枚。
2ページ目はまた別の記事になっています。


冒頭には、
「内閣情報部一二・一八 情報第一四号」
とあります。内閣情報部が他国のニュースの情報を収集していたことがわかります。
内閣情報部は、総理直属の情報収集、報道統制、宣伝機関です。
(昭和12年勅令第519号「内閣情報部官制」。勅令もアジ歴でみることができます。それについてはこちらのエントリ。)


「同盟来電」とありますので、同盟通信社からの来電でしょう。
「不発表」とあるので、この記事は、日本国内では発表されなかったことがわかります。


記事の内容から、昭和12年であることが推測されますが、
それを確かめてみましょう。


検索結果一覧画面に戻り、
【各種情報資料・支那事変関係情報綴】をクリックします。
101件が表示されます。これ全部が一つの簿冊で、
記事ごとに、細分化して画像をアップしていることがわかります。


先ほどの記事は、40番目。
1番の【哈府支那語放送(十四日)】をクリックすれば、
表紙をみることができます。
「昭和十二年一二月十六日以降」と確認できます。


南京関連では、33番の【AP南京日本兵の行動を誣ゆ】が見つかります。


画像数が多いのは、
支那事変に関する各国新聞論調概要】。
外務省情報部が各国の新聞の情報を収集していたことがわかります。
数日おきに作成されているので、これを順番に追っていくこともできるでしょう。



さらに広く記事を探していくには、
階層を一つ上に上りましょう。


ページ一番上の簿冊情報を見ます。
階層の一番右の【各種情報資料】をクリックします。
全64件が表示されます。
先にみたのは、21番のものです。


このようにして探す範囲を拡げていきます。