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日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

侵略戦争の弁証法

先に、満州事変以後の流れがほぼ予測されていたことを紹介しましたが、
油井大三郎氏は、その流れを「侵略戦争の弁証法」と表現しています。


■油井大三郎「世界史のなかの戦争と平和」『岩波講座世界歴史25』1997

ナチス・ドイツの場合には、目的に大義のない局地的侵略を強行した結果、被侵略国側の抵抗を引き起こし、その抵抗を抑制するためにさらに侵略を拡大せざるをえなくなるといった形で、結局、世界戦争に突入していったのであった。それは「侵略戦争の弁証法」とでも呼びうる展開であり、日本の場合にも当てはまる事態であった。つまり、一九三一年九月に「満州事変」を強行し、「満州国」を樹立したものの、中国側の抵抗が収まらないため、三七年七月には日中戦争を引き起こしていった過程がそれである。
(69頁)


実際、関東軍司令部は、次のように述べています。


■関東軍司令部「北支問題に就て」1935.12(歴史科学協議会ほか編『史料日本近現代史2』三省堂、1985、197頁)

北支ノ満洲国ニ対スル地位ハ満洲国ノ治安ニ重大ナル影響ヲ有スル外経済的ニハ更ニ密接不離ナル関係ニ在リ


一旦獲得した占領地は、犠牲を払ったという感情によって、
撤退することを許さなくしていくでしょう。


■香川県川島町民の声 1938.3(吉見義明『草の根ファシズム東京大学出版会、1987、9頁)

命を投げ出して占拠したところを意味なく返すのは勿体ない