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日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

それを通じて何を明らかにしたいのか


ふたたび、田中禎昭「先行研究をどう整理するか」より。

研究が専門化すればするほど、研究対象は多様に個別分散化するのは必然的なことだが、大切なことは、自分がなぜ、論題に掲げたような個別的限定的な素材・対象を研究するのか、本当は、それを通じて何を明らかにしたいのか、を絶えず自己に問い掛け、忘れないことである。このような自分が明らかにしたい究極の研究課題、また、より大きな研究課題は、研究の進展と専門化の過程で忘れがちになるが、それを常に意識化し、それにもとづき自己の研究の位置を絶えず確認する思考の営みが必要なのである。
(中略)
つまり、研究は、究極の課題・大課題・小課題がピラミッド状に構成される課題の連鎖構造を持っている。
(27頁)


狭い専門的な対象に集中しつづけると、行き詰まりを感じたり、
方向性を失いかけることがあります。
このような場合には、初心に帰って、大きな課題の視点に立って、
もう一度見つめなおしてみることで進むべき道が見えてくることもあるでしょう。


先行研究の整理も以上のような課題へのアプローチに沿ったものにしなくてはなりません。

第一に、論文の目指す究極の課題、大きな課題は何か。
(中略)
そして、このような自分の大きな課題を確認したならば、同様にそのような大きな課題意識を持ち、実証研究の蓄積により論点を提示したエポックとなる先学の主要な研究潮流を整理し、自己の課題意識を大きな研究の潮流の中に系統的に位置づける作業が必要である。
(28頁)


これは、「先行研究の研究史的整理」と呼ばれます。

第二に必要な先行研究の整理が、論文が直接扱う対象・史料にかかわる小課題に関する学説の整理、すなわち、「先行研究の学説史的整理」である。
(29頁)


以上のような「研究史的整理」と「学説史的整理」の違いをふまえ、
先行研究のなかに自己の課題を明確に位置づけることが必要となります。