日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

昭8.2.19 社説「断乎脱退せよ」


■社説「断乎脱退せよ」『北海タイムス』昭8.2.19


総会が開かれる21日を目前に、連盟脱退が閣議決定されようとしているなか、
社説子も即時脱退を主張する。

わが国は連盟に対する一切を清算し、断固として脱退を敢行すべき時期が到達したのである。

わが国は、今日まで連盟の一員として、しかも連盟をリードすべき重要なる存在として、連盟精神の高揚に努め、日支紛争事件に対する連盟の処置に就ても、当事国として有り勝な偏頗なる主張を豪末もなさず、常に恰も第三国の如き冷静さと公平さとを以て臨み、その一挙一動をも苟くもせず、只管連盟の権威の発揚に精進し来つたのである。

十九ケ国委員会の報告案なるものを見るに、恰も国際連盟が超国家的裁判機関なるが如き態度を以て臨み、わが正当なる自衛権の発動をすら拒み、剰へ支那のボイコツトの如き、一国の政府又は政府党が国策の手段として行ふボイコツトに対してすら何等注意をさへ喚起するところなく、しかも満洲国の独立が住民の自発的意思に基くものなることは、一点疑ふの余地なきに拘らず、この事実を抹殺し去らむとする等、全く連盟の真精神を没却するの行動に出でゝゐるのである。