日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

昭8.2.28 宮嶋清次郎「経済封鎖は予ての覚悟」


■宮嶋清次郎「経済封鎖は予ての覚悟」『北海タイムス』昭8.2.28


著者は、日清紡社長。


経済封鎖によって打撃を被るのは日本だけでなく、
相手国もであるとするのは同日の社説と同じだが、
宮嶋は、日本には対策があるという。

日本としては少しも困らない自信が充分にある。一番大きな影響を受ける棉花などに就いても、山東で馬力をかけて栽培させると共に、支那棉を買入れゝば差支へがない。然し支那の市場を確保するためには勢ひ武力の伴ふことは已むを得ざることであらう。
羊毛に就ても満蒙があつて相当の補充は出来るが、応急策としては古■服を加工して反毛し、軍服始め一般の需要に応ずることが出来る。また棉や羊毛の不足は米国へ輸出する生糸を以て内地の消費にあてれば、緩■が出来ると共に蚕糸業者を救済することが出来て一石二鳥の利益がある。

若し飽まで之(引用者注―経済封鎖)を完全に行はんとするならば、我国としては必然的に武力を持つて此の圧迫を排除しなければならぬ。我国が武力を以て排除すれば連盟国も亦武力を以て臨まなければならぬ。その結果は世界的の動乱になるが、大国側としては経済断交による損害を蒙つた上に、更に兵力まで使つて二重の犠牲を払ふやうな愚を演ずるものではない。此の意味に於て私は経済封鎖恐るゝに足らずと信ずるものである