靖国参拝遺児たちの作文
- 作者: 一ノ瀬俊也
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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一ノ瀬俊也『銃後の社会史』(歴史文化ライブラリー203、2005)には、
靖国神社に参拝した遺児たちの次のような作文が引用されている。
遊就館に入りました。先ず第一に目にとまったのは、軍艦旗、弾丸にあたって左手のボロボロになった軍服でした。私は思わず、もったいなくて頭が下がりました。私は光栄の今日の日に、ほんとうに、決心いたしました。かならず一生けんめい勉強して父の足りなかった御奉公のつぐないの出来る日本人となり、天皇陛下の御ために忠義をおつくしすることを、心の中でかたくちかいました。
(147頁)
本物の落下傘を見せていただき、色々の説明していただく中に、私も早く海鷲となって米英をやっつけたいなあと思いました
(148頁)
お国に尽くす真心でこしらえた飛行機だと思うと僕はありがたかった。この飛行機は空を飛んでどんなにお手柄をたてたことだろう。去年東京を空襲したアメリカの飛行機の撃ついされたのがあった。その前まで来るとみんながいいきみだ、いいきみだと言ってののしった。僕もいいきみだと言った。
(同頁)
お父さんのおかげでこんなにまでして頂ける僕は本当に幸福だ。遺児の名にそむかぬようにうんと勉強してりっぱな日本人になるのだ。そうしてこんなにまでして頂いたお国の御恩に報いるのだ。早く大きくなって僕も兵隊になりお国の為に一生けん命に働くのだ。
(156頁)
一ノ瀬氏が言うように、
靖国神社は、遺児たちが臣民としての自覚を持ち、
また敵愾心を燃やす場所であった。
遺児たちの作文の公刊は、
前線の兵士に対して、遺児たちは厚遇されるから安心して戦ってこいとの
メッセージを伝える機能を有した。