海軍中将・中野直枝「重大なる時局と国民の覚悟」昭6末?
■海軍中将・中野直枝「重大なる時局と国民の覚悟」神奈川区青年団連盟編『剛健』第2号、昭6末?
帝国在郷軍人会副長である海軍中将・中野直枝は、
昭和6年11月7日、神奈川区青年団連盟後援の時局講演会において、次のように述べている。
今度理事会の鼻息が如何に荒かつたからと云つても、日本が閉口するといふ考へが仮りにあつたら、今日まで日本が唱へて居つた正義は口先ばかりの正義であつて、決して本当の正義にならないといふことを裏書することになるのであります。それだけならまだしも満洲から仮りに兵を引揚げてごらんなさい、満洲の同胞はどうなりますか。苛い目に会ふと思ひます。中には一旦兵隊を引揚げたらどうかといふやうなことを云ふ人がある。之は朝日新聞に出て居つた投書ですが、それで、若し引いて苛い目に会つたら戦争をおつぱじめる、さうすれば連盟も文句はないだろう、不戦条約も喧ましく云ふことも出来ないであらうといふのでありますがさう云ふ人が自分の子供や自分の親をそんな所に出しますか。―さう云ふことは到底実行出来ないのであります。若し撤兵すれば日本は自衛権の発動でなかつたといふことになるのでありますから到底さう云ふことは出来ないのであります。
(アジア歴史資料センターref:C05022034700 第50画像〜C05022034800 第1画像)
絶対引き返せない構図だ。