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日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

「経済上の自主権」

植民地


■社論「殖民地貿易」『中外商業新報』1912.11.15


社説子はまず、植民地の領有によって、
日本においても「経済上の自主権」の確保が可能になったとする。

蝦夷と謂ふ内国殖民地を有するの外、弾丸黒子の殖民地すら有せざりし旧時の小日本に於ては此事(引用者注―保護貿易政策)固より望可らざるべしと雖、既に台湾、樺太を領有し、朝鮮を併合し、関東州を租借し、領土の膨張に伴ふ人口の増加、富力の充実を得たる新日本、大日本の今日に於ては、外国貿易の上に関税の障壁を高く築きて、内国の産業を保護し、拠て以て経済上の自主権を確保することと必ずしも難事にあらざるべしとは、独り政府の諸公のみならず、一般国民の斉しく認識したる所なり


台湾の貿易総額 1億884万6000円
輸移出額 5992万3000円  うち移出額(台湾→内地) 4793万7000円
輸移入額 4892万2000円  うち移入額(内地→台湾) 2907万円


朝鮮の貿易総額 7294万4000円
輸移出額 1885万6000円  うち移出額(朝鮮→内地) 1334万円
輸移入額 5408万7000円  うち移入額(内地→朝鮮) 3405万8000円



統計的には、
台湾は「原料供給地」、朝鮮は「内国生産品消費地」の性格を有するが、
台湾、朝鮮の貿易規模にはまだまだ不満が残るとする。

我外国貿易の大局より観察すれば原料供給地としての台湾の供給力も、内国生産消費地としての朝鮮の購買力も幾んど論ずるに足らざるやに思はる。将来は兎も角現在に於ける殖民地の経済力斯の如しとせば余輩は所謂殖民地領有が我経済上の自主権を保障するに於て幾何の価値を有するやを疑はざるを得ず。

思ふに内国の産業は近き将来に於て保護貿易政策の庇蔭に頼り長足の進歩を為し過剰生産の処理に窮するの日あるは明かならん。其時若し殖民地の購買力今日の如く貧弱なるに於ては過剰生産品処分の方はなく、結局は他国の勢力範囲にダンピングを行はざるべからざることとなるべし。


その後の植民地貿易は、どうなっていくのだろうか。
それについては、また改めて。