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日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

どの目標に対して榴弾と黄燐を組み合わせるか

黄燐


タコつぼに隠れている兵士に対して、榴弾と黄燐を用いる
“シェイクアンドベイク”作戦については、すでにみたところである。
しかし、榴弾と黄燐が用いられるのは、、タコつぼの兵士に対してだけでなかった。


米陸軍野外教範 FM 23-91 MORTAR GUNNERY(1991)
http://www.kmike.com/Mortars/FM%2023-91.pdf

Table 2-3. Targets and methods of attack. から
どの目標に対して、榴弾と黄燐の組み合わせが用いられるのかがわかる。


基本的には、次のように述べられる。

Projectile WP should be combined with HE when the target contains flammable material and when the smoke will not obscure adjustment.

黄燐弾は、目標が可燃性の物資を含むとき、そして煙が砲撃修正を邪魔しないとき、榴弾と組み合わせるべきである。


具体的に、みていこう。


車両には、
集結地にあるもの、移動中のものもともに、榴弾と黄燐の組み合わせが用いられる。
信管は、瞬発信管、VT信管を使う。


ここで一旦、信管および弾種に関しての解説をみてみよう。

b. The type of ammunition selected to engage a target depends on the nature of the target and characteristics of the ammunition available. The effect of HE ammunition varies with the fuze used.
(1) Quick and superquick fuzes. Quick and SQ fuzes are used for impact detonation. When the HE projectile with a quick or SQ fuze passes through trees, detonation may occur in the foliage. Therefore, its effectiveness may be either improved or lost, depending on the density of the foliage and the nature of the target.
(2) Proximity fuzes. A proximity fuze is used with HE ammunition to get airbursts.
A proximity or VT fuze detonates automatically upon approach to an object. It is used to get airbursts without adjusting the HOB. If the proximity element fails to function, a fuze quick-action occurs upon impact. The HOB varies according to the caliber of projectile, the angle of fall, and the type of terrain in the target area. If the terrain is wet or marshy, the HOB is increased. Light foliage has little effect on a proximity fuze, but heavy foliage increases the HOB by about the height of the foliage. The greater the angle of fall, the closer the burst is to the ground.
(3) Fuze delay. Fuze delay produces a mine action caused by the round’s
penetration before detonation. Fuze delay can be used to destroy earth and log
emplacements. It is also effective against some masonry and concrete structures. Fuze delay is NOT used against armor. The depth of penetration depends on the type of soil and terminal velocity of the round.
(4) Illumination. Illumination using time fuze gives an airburst depending on the
time set on it. The setting depends on the charge and elevation fired. When time fuze
is used, the HOB can be adjusted to give the best illumination on the desired location.
(5) Chemical ammunition. Chemical ammunition is used for producing casualties,
incendiary effects, screening, marking, and harassing. Among the types of fillings in chemical projectiles are gas (CS) and WP.
(6) Projectiles. Projectiles filled with chemical agents are useful for causing casualties in fortified positions or installations. Chemical rounds may be used at low expenditure rates to harass the enemy and to force them to wear protective masks for prolonged periods.

 b. 目標を攻撃するために選択する弾薬の種類は、目標の性質や利用できる弾薬の特質による。榴弾の効果は、使用する信管によって変化する。
 (1)瞬発および着発信管。瞬発および着発信管は、衝突爆発に用いられる。瞬発もしくは着発信管を用いた榴弾が森林を通過するとき、群葉の中で爆発が起こるかもしれない。その結果、その有効性は、群葉の密度や目標の性格によって、向上あるいは失われる。
 (2)近接信管。近接信管は、空中爆発させる榴弾で用いられる。近接あるいはVT信管は、目標への接近で自動的に爆発する。それは起爆高度の調整なしの空中爆発に用いられる。もし近接機能が故障したら、衝撃による起爆機能が作用する。起爆高度は、発射物の口径、落下角度、目標の地形によって変化する。もし、地形が湿っていたり湿地であれば、起爆高度を上げる。少量の群葉は、近接信管にほとんど影響しないが、多量の群葉は、群葉の高度ほどまで起爆高度を上げる。落下角度が大きければ大きいほど、爆発は地表に近くなる。
 (3)延期信管。延期信管は砲弾が爆発前に貫通し、地雷作用を生じる。延期信管は、土や木製の砲座を破壊するために用いられる。それはまた、石造やコンクリート構造物に対して効果的である。延期信管は、装甲に対しては用いない。貫通深度は、土壌の種類や砲弾の最終速度による。
 (4)照明弾。時限信管を用いる照明弾は、時間設定により空中爆発をなす。設定は、装薬量や射角による。時限信管を用いるとき、起爆高度は、望む位置に最適な照明をもたらすように設定する。
 (5)化学弾薬。化学弾薬は、死傷、焼夷効果、遮蔽、マーキング、混乱に用いられる。化学弾の種類には、CSガスおよび黄燐が含まれる。
 (6)投射物。化学剤を満たした投射物は、集結地や基地への死傷攻撃に有効である。化学弾は低い消費率で、敵を混乱させ、長期間、防護マスクの装着を強いることができる。


信管の種類とは別に、黄燐はCSガスと同じ、化学弾薬の項で言及されている。
榴弾と黄燐の信管は、同一でいいのだろうか。


兵器を目標とする場合、防備を固めたものと露出しているものとで異なり、
後者の場合、榴弾と黄燐の組み合わせが用いられる(VT信管)。
前者については、榴弾のみ、瞬発信管、延期信管で用いられる。


船舶(VT信管)、橋(瞬発、延期信管)は、榴弾のみによる。


建造物は、木造と石造で異なる。
木造は、榴弾と黄燐を用いる(瞬発信管)。
石造は、榴弾を瞬発、延期信管で用いる。


要塞については、コンクリート製と土製・丸太製などとで区分されている。
後者には、榴弾(瞬発および延期信管)のみを用いるが、
前者は、表の弾種の箇所に不備があり、不明。



人員については、

  • 露出しているもの
  • タコつぼにいるもの
  • 防空壕あるいは洞穴にいるもの
  • 軽防御のもの

に区分される。


このうち、榴弾と黄燐の組み合わせが用いられるのは、
ご存じのとおり、タコつぼにいるものに対してである。
VT信管を用いる。


注記には次のようにある。

AIRBURST ARE NECESSARY.
SURPRISE IS NOT NECESSARY. WP IS USEFUL IN DRIVING PERSONNEL OUT OF HOLES AND INTO OPEN.

空中爆発が必要。
奇襲は必要ではない。黄燐は、敵人員をタコつぼの外へ引きずり出すのに有効である。


また、軽防御のものも、可燃性の物資がある場合、
黄燐が組み合わされる。


道路や鉄道は、榴弾のみ(延期、VT、着発信管)。


補給基地は、榴弾(瞬発、VT信管)と黄燐による。



以上、榴弾と黄燐の組み合わせを用いる目標を列記すると、

  • 車両(集結地・移動中)
  • 露出している兵器
  • 木造建造物
  • タコつぼにいる人員
  • 軽防御の人員
  • 補給基地

となる。