日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

チェンバレン決議案、委員会で可決

チェンバレン決議案の内容については各記事でまちまちで、議事録での確認が必要であろう。27日、軍事委員会が同決議案を可決し、次は本会議での採択へと向かう。28日には、アメリカ市民になれない外国人として日本人および中国人は徴兵免除と修正されるが、そのような差別的な免除のされ方は、のち日本の外交当局によって問題とされていく。


The Day - Jul 25, 1917 BRANDEGEE WANTS ALIENS IN DRAFT

  • チェンバレン決議案は、敵国外国人および市民となる意思を宣言しない者を除く、一年以上合衆国に居住するすべての外国人は、アメリカ市民と同様の条件での徴兵の対象とするべきと規定する。合衆国との条約で強制的徴兵を賦課することが禁止されている国の者は、徴兵の適用を免除される。その免除を行使する外国人は、合衆国からの出国に免除許可から90日の猶予が与えられる。


Meriden Daily Journal Jul 25, 1917  Draft Aliens If If Possible

  • 議会は、国務省が有力な反対論をなさない限り、すべての適齢外国人の徴兵を指示する予定である。世論調査は、合衆国に住み、母国の徴兵を逃れている外国人に徴兵の負担を分担させることに賛成する意見が圧倒的であることを明らかにした。特にこの意見は、人口構成により外国人の徴兵免除がアメリカ市民にのみ重い負担をもたらすであろう地域の出身議員の間で優勢である。
  • チェンバレン決議案は、すべての外国人は、条約で規定されている国の者でないかぎり、中央同盟国の外国人を除き、アメリカ市民と同期間の徴兵の対象とするものであるが、現在、上院軍事委員会で審議中である。委員会による議決は、決議案に関する国務省の報告受領を待つ間、停まっている。しかし国務省が強く反対しない限り、委員会は賛成を報告することを決定している。
  • 国務省は、決議案の背後にあるものへの懸念を表明した。外交問題を引き起こす可能性と理解される。しかしながら、上院においては、同盟国も兵役からの避難場としてこの国を利用している者を徴兵することに賛同するものとみている。すべての同盟国政府は、最近の議会の決議をもって、この国にいる各々の国民を徴兵する権利を有している。しかしほとんどそれが機能していないので、合衆国が徴兵忌避者をアメリカ軍に徴兵することを歓迎するものとみられている。
  • チェンバレン決議案は、約100万人を徴兵資格リストに加えることとなる。本国の外交官による主張があれば、免除が認められる。しかしその者は90日以内に自発的に出国しないと強制出国させられる。


The Pittsburgh Press  Jul 26, 1917 INCLUDE ALIENS IN ARMY DRAFT

  • 26日、外国人を徴兵するためのマッカンバー決議案は、上院外交委員会の分科会で審議される。この決議のもとで外国人は徴兵されるか、あるいはそれを拒否して国外退去となる。
  • 陸軍省は決議案に賛成しているが、国務省は外交上の障害、すなわち合衆国がそれぞれの国民に強制的兵役を賦課することを禁止する半ダースの国々との条約を指摘する。
  • イタリア大使館は本日、アメリカにいる15万人の適齢イタリア人を徴兵対象とするための外交交渉が進行中であると公表した。現時点では、イタリア政府、アメリカ政府のどちらも彼らに手をつけることができない。
  • 各同盟国は古い条約の迅速な破棄を期待している。それらが期待しようがしまいが、本国の高官は、議会は条約破棄を決議し得ると明言する。ドイツと戦争中の国家は、同国民の徴兵を拒否することをほとんど期待していない。
  • 陸軍省の郵便物は、多くの外国人人口を抱える都市からの辛らつな抗議であふれている。それらは、外国人が多い都市では、第一回徴兵で、ほとんどすべてのアメリカ市民が徴兵されることとなると主張する。シカゴでは、全登録者の四分の一が外国人として免除される。ある2,923人の地区では、2,108人が外国人として免除され、残った815人のアメリカ市民から377人を徴兵することとなる。


Chicago Tribune Jul 27, 1917 WILSON MAY ASK ALLIES' CONSENT TO DRAFT ALIENS

  • おそらく短期間のうちに各国民をアメリカの新国民軍へ徴兵するため、同盟国との交渉が開始されるであろう。ストーンおよびマッカンバー上院議員は、上院の外交委員会を代表し、担当のポルク国務省参事官と会談した。ポルクは両議員に対し、この問題はウィルソン大統領が直接とり行う必要があると述べた。
  • 別の情報筋によると、大統領は同案を支持しているとみられている。大統領のもとには、外国人を徴兵から除外することは、健康なすべてのアメリカ市民を徴兵することとなるとする多くの抗議が届いていた。抗議のなかにはシカゴからのものもあった。
  • ポルク参事官は、条約によって保護されているため、日本、イタリア、セルビア人を徴兵することは、条約を廃止しない限り、不可能であると指摘した。議員のなかには、外国人を徴兵するために外国に対して同意を求める交渉は、時間がかかり過ぎて間に合わないと考えるものもいる。68万7000人の最初の国民軍派遣隊が召集される前に何らかの動きがあるとみられている。
  • 戦闘力維持のための兵士の予備貯蓄組織の計画が陸軍大学において、クラウダー憲兵司令官およびベーカー陸軍長官と共同で進められている。州兵、正規軍、新国民軍の欠員は、この予備資源あるいは徴募制度によって補充されるであろう。統一性の問題が現在、重要となっており、徴募組織は、徴兵の完成を待って、まもなく縮小される。
  • 徴兵された者は、正規軍、州兵、人員が必要なところへ分配される。正規軍には必要とされないかもしれないが、入隊から約12日で、現在1日2200人が正規軍に補充される。


New York Times Jul 28,1917 BILL TO DRAFT ALIENS IS READY FOR SENATE

  • 27日、上院軍事委員会は、適齢の友好国外国人の徴兵を規定するチェンバレン決議案を全会一致で可決。同決議案は来週、上院に報告され、採択されることが予想される。
  • 軍事委員会は、チェンバレン決議案に関して国務省と協議しており、同省が同案を支持したものと考えられる。
  • 委員会は本日、アメリカ市民になることができない外国人を除外するよう決議案を修正した。これにより、中国人と日本人が除外される。ほかにはもともとの決議案にあるが、徴兵制がない国および合衆国との条約で兵役賦課免除を規定している国の友好国外国人が除外される。これにはカナダ人とオーストラリア人が該当する。
  • チェンバレン決議案が議会で採択されれば、100万人近くの外国人が徴兵対象となるであろう。
  • もし同決議案が上院で採択されない場合、外交委員会が、同盟国と同国人の徴兵の同意を求める交渉に入るよう大統領へ命じるマッカンバー決議を提議するであろう。この決議案は上院の支持を得ており、チェンバレン決議案が不採択になれば、採択が確実とみられる。


Meriden Morning Record  Jul 28, 1917 SENATORS VOTE TO DRAFT ALIENS

  • 市民になる努力をしないで一年間、アメリカに居住している外国人が徴兵の対象となる。