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日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

中華民国兵役法(1933)


1933年6月17日、国民政府は「兵役法」12か条を公布した。非常に簡略的な兵役法で、36年3月1日になってようやく正式に施行された。国民政府は対日全面戦争を見据えて、募兵制を徴兵制に改める方向性を打ち出した。

兵役法(1933)


第一条
中華民国男子の兵役服務義務は本法の規定による。


第二条
兵役は以下の二種に分かれる。
 一、国民兵役
 二、常備兵役


第三条
男子は満十八歳より四十五歳まで、本法所定の常備兵役に服せざるとき、国民兵役に服す。平時、規定の軍事教育を受け、戦時、国民政府の命令により徴集する。


第四条
常備兵役は現役、正役、続役に分かれる。平時、満二十歳より二十五歳の男子を徴集し、検定に合格した者を入営、現役に服させる。期限を三年とし、上等兵および特殊業兵を除き、等しく二年で帰休させる。輜重運輸兵は満五年*1で帰休させる。正役は現役満期除隊者をもって充てる。期限を六年とし、平時、在郷で規定の演習に参加、戦時、動員召集で帰営する。続役は正役満期者をもって充てる。期限は転役の日より満四十歳までとし、任務は正役と同じとする。留備兵は地方自治未完成の区域において、年齢が合い兵役を志願する男子をもって充てる。


第五条
常備兵役は戦時、その服務期限を延長し得る。


第六条
兵事事務および在郷軍人各種事項に関しては、軍政部、内政部で協同管理する。


第七条
国民軍事教育事項に関しては、訓練総監部(現政治部)、内政部、教育部で協同管理する。


第八条
前二条各稿事務の準備および実施のため、全国地方に師区団区を画定し、区内に必要機関を設置し事務を管掌する。
各地方官署および自治機関は、前項所載各事項について、法令により協力して処理する責任を有する。


第九条
以下の各事項は主管官署で規定する。
 一、常備兵の徴募と除隊および帰営事項
 二、常備兵の検査事項
 三、徴募兵の服役事項
 四、国民軍事教育事項
 五、国民兵戦時徴集の準備実施および服役規定事項
 六、在郷軍人の管理および召集事項
 七、師区団区に関する事項


第十条
国民兵役および常備兵役事項は別に定む。


第十一条
海空軍の兵役に関しては別に定む。


第十二条
本法施行は命令をもって定む。


(《中国軍事史》編写組『中国歴代軍事制度』解放軍出版社、2005、646〜647頁参照)


重要なのは第四条である。常備兵役の「現役」「正役」「続役」は、日本の兵役法で言う「現役」「予備役」「後備役」に当たる。現役三年のところ、二年経った時点で帰休させる点は、かつての日本の徴兵令と同じだ。注目は地方自治未完成の区域で実施するという「留備兵」である。これは志願により兵とするものであり、もしこれが多くを占めるのなら、実態はそれ以前の募兵制と変わらなくなる。果して実態はどうであったか。

1936年8月には、国民政府内政部・軍政部によって「兵役法施行暫行条例」が公布されており、兵役の具体的な内容については同条例を見なければならない。

*1:五ヶ月の誤りか? <追記 13.1.09>上海海軍特務機関が兵役法の条文を情報として伝えているが、その訳出によると、「満半ケ年」とある(JACAR ref:C05022757200)。