日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

2009-01-01から1年間の記事一覧

松下芳男著作目録

タイトル 所収・出版社 発行 1. 軍隊教育学之神髄 兵事雑誌社 1920 2. 剣執る身にペン執りて : 兵営秘話 忠誠堂 1921 3. 資本主義と戦争 文化学会出版部 1925 4. 無産階級と国際戦 科学思想普及会 1925 5. 国防と軍備 : 我国資本主義政策の一批判 日本労働総…

西南戦争と白兵戦

関連 http://d.hatena.ne.jp/higeta/20090921/p1 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090918/p2 軍学校の受験に関して調べていると、主に中学生を対象としていたと思われる『学生』という受験雑誌に、陸軍大将・浅田信興が、西南戦争の回想を寄稿しているのをみ…

抜刀隊と史料

「百人斬り」との関連で西南戦争時の抜刀隊をとりあげるという Apemanさんの着想が興味深い*1。 『郵便報知新聞』1877年3月12日付社説「賊之兵略常在二接戦一」には、次のようにある。 腰間三尺ノ秋水ヲ提テ狂呼スル于今幾年ゾ其凝塊セル精神ハ初メテ今日ニ…

台湾議会設置請願運動

田中宏の論文を読んで、植民地台湾について持っていた、特に朝鮮と対比しての漠然としたイメージが崩れた。 田中によると、朝鮮における参政権要求運動では、基本的に本国議会への参加を求めたのに対し、台湾の運動においては、台湾議会の設置を要求しつづけ…

憲兵条例改正一覧

年月日 号 全 備考 明14.3.11 太政官達第11号 全54条 憲兵条例の制定 〃22.3.28 勅令第43号 全41条 全面改正*1 〃28.7.3 勅令第95号 全38条 全面改正 〃29.5.25 勅令第231号 全27条 全面改正 〃30.9.22 勅令第332号 全28条 全面改正 〃31.11.29 勅令第337号 …

ノモンハン事件責任者の処分

ノモンハン事件責任者(軍上層部)の処分に関して、 陸相・畑俊六は、日記に次のように記している(続・現代史資料4『畑俊六日誌』みすず書房、1983)。 昭14.9.8 ノモンハンに於ける第六軍の戦績は頗不良にして、23Dは支離滅裂となり軍旗二旒を焼却し、死…

戦争の定義

国際政治学者の奥村房夫*1は、代表的な戦史家の戦争の定義に関して、以下のものを挙げている。 (奥村房夫『「戦争」の論理』学陽書房、1986、16-17頁) (1) クラウゼヴィッツ(『戦争について』) 「戦争とは一種の強力行為であり、その旨とするところは相…

忘却の台湾

dj19さん引用のあわせて読みたいと あわせて読みたい。 ■松田京子「戦争報道の中の台湾―台湾領有戦争の語りと記憶をめぐって―」『南山大学日本文化学科論集』6、2006.3 領土の「合法的」割譲と、その地で徹底した暴力が行使されたこととは矛盾するものではな…

南京事件へのアプローチ

ココのコメント欄等をみて、思ったこと。 南京事件へのアプローチを分類してみる。 a. 歴史学者が自分の専門分野として研究する。b. 歴史学者が他の歴史学者の研究によって、事件を認識する。c. アマチュアが歴史学者の研究を踏まえつつ、自ら研究を進める。…

「日中戦争」という呼称

多くの研究者は、当時呼ばれていた「支那事変」ではなく、「日中戦争」と呼称する*1。「支那」に替わり「中国」という呼び名が一般的になったことが一つの原因であるが、では「事変」ではなく「戦争」と呼ぶのはなぜだろうか。 1960年代の代表的な研究である…

国家社会主義メモ

http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090608/p1#cに関連して、補足&メモ。 ■木下好太郎『ヒットラーと獨逸ファシズム運動』内外社、1932 現代ドイツに於ける急激なる国家社会主義の擡頭に就いては、資本主義世界の示顕する現代の未曾有の不況と、その一環をなす…

南京事件否定論者が歴史学者による入門書・研究を読まなくていいと考える論理を忖度する

Apemanさんのところの最近の経緯、南京事件を否定してしまうのは入門知識すら身につけてない証 - 模型とキャラ弁の日記や過去に見聞した議論に基づくが、多分に推測を加味し、整合したものも含まれる。否定論者のなかでは、明確に意識されておらず、複数の論…

植民地台湾

<植民地台湾> 著者・編者 タイトル 所収・出版社 発行 1. 黄昭堂 台湾民主国の研究 東京大学出版会 1970 2. 山辺健太郎 解説 現代史資料21 台湾(一) 1971 3. 山辺健太郎 解説 現代史資料22 台湾(二) 1971 4. 大江志乃夫 植民地領有と軍部 歴史学研究46…

台湾植民地戦争とは何か

荒川章二氏は、1995年の時点で次のように述べていた。 今からちょうど一〇〇年前、一八九五(明治二八)年四月十七日の下関講和条約調印で、日清戦争は公式に終結した。そして現代の我々日本人は、それをもって、以後日露戦争まで、日本軍の対外的武力行使が…

「日台戦争」と呼ぶのは誤りか

檜山幸夫氏は日清戦争および植民地期台湾を専門としているが、 その著書『日清戦争 秘蔵写真が明かす真実』(講談社、1997)では、 第六章「台湾統治と台湾戦線」の第三節を「日台戦争」と題している。 同節251頁では、次のように述べる。 清軍兵士と異なり…

日露戦争

<日露戦争> 著者・編者 タイトル 所収・出版社 発行 日本国際政治学会 日清・日露戦争 国際政治19 1962.4 橋川文三 日清・日露の戦役 筑摩書房 1970 信夫清三郎・中山治一 日露戦争史の研究 河出書房新社 1972 大山梓 日露戦争の軍政史録 芙蓉書房 1973 大…

日清戦争

<日清戦争> 著者・編者 タイトル 所収・出版社 発行 日本国際政治学会 日清・日露戦争 国際政治19 1962.4 中塚明 日清戦争の研究 青木書店 1968 橋川文三 日清・日露の戦役 筑摩書房 1970 藤村道生 日清戦争 : 東アジア近代史の転換点 岩波新書・青版880 1…

徴兵制導入

<徴兵制導入> 著者・編者 タイトル 所収・出版社 発行 鹿野政直 日本軍隊の成立 歴史評論 46 1953.6 藤原彰 日本軍国主義の戦略思想 思想 365 1954.11 大石愼三郎 徴兵制と家 歴史学研究 194 1956.4 北崎豊二 明治一六年の徴兵令改正と民衆の動向 ヒストリ…

幕末〜明治初期

<幕末〜明治初期> 著者・編者 タイトル 所収・出版社 発行 篠原宏 陸軍創設史 リブロポート 1983 熊沢徹 幕末の軍制改革と兵賦徴発 歴史評論 499 1991.11 熊沢徹 幕末維新期の軍事と徴兵 歴史学研究 651 1993.10 山田千秋 日本軍制の起源とドイツ 原書房 1…

軍隊の国民的基盤

<軍隊の国民的基盤> 著者・編者 タイトル 所収・出版社 発行 飯塚浩二 日本の軍隊 東大協同組合出版部 1950 吉田裕 日本の軍隊 岩波講座 日本歴史17 1994 加藤陽子 徴兵制と近代日本 吉川弘文館 1996 原田敬一 国民軍の神話 吉川弘文館 2001 荒川章二 軍隊…

天皇の軍隊

<天皇の軍隊> 著者・編者 タイトル 所収・出版社 発行 藤原彰 国民の軍隊か、天皇の軍隊か 近代日本の争点・中 1967 大谷敬二郎 天皇の軍隊 図書出版社 1972 大谷敬二郎 皇軍の崩壊 図書出版社 1975 井上清 新版日本の軍国主義I〜IV 現代評論社 1975〜77 …

近代日本軍事史関係文献

天皇の軍隊 軍隊の国民的基盤 男性史 社会学 植民地台湾 幕末〜明治初期 戊辰戦争 徴兵制導入 西南戦争 日清戦争 義和団事変 日露戦争 第一次大戦 シベリア戦争 〈未完〉※追記 09/4/28 各項目ごとにエントリを分けました。

白リンの野外被曝濃度

探していた、白リンの野外被曝濃度に言及したBerkowitzほかの研究を、 http://www.ntis.gov/ で入手した。 タイトルは、OCCUPATIONAL AND ENVIRONMENTAL HAZARDS ASSOCIATED WITH THE FORMULATION AND USE OF WHITE PHOSPHORUS-FELT AND RED PHOSPHORUS-BUTY…

タイトル変更

心機一転、タイトルを変更しました。 長らく放置していたブログのタイトルを引き継ぐかたちとなります。 よろしくお願いします。

EPA報告書:野外での暴露

さきにみたように、NRC報告書は、野外における黄燐煙の濃度に関して、 米国環境保護庁 (EPA)のデータを紹介していた。 今回は、そのEPAの資料にあたってみた。 タイトルは、 Summary Review of Health Effects Associated with Elemental and Inorganic P…

日本における黄燐の安全基準

前エントリでは、アメリカにおける黄燐の安全基準について、触れたが、 では、日本ではその基準はどうなっているのであろうか。 安全衛生情報センター(厚労省の委託により中央労働災害防止協会が運営)は、 GHS(「化学品の分類および表示に関する世界調和…

黄燐の吸入毒性に関するNRC報告書

「黄燐に限らずどんな煙も吸いすぎたら危険に決まっているのだから、黄燐だけを問題にするのはおかしい」というのは、いささか乱暴な議論であろう。物質の性質の違いによって、人体に与える影響も当然違ってくるのではないだろうか。そこで黄燐による影響は…

黄燐にはどのような毒性があるか

黄燐の毒性は、古くから知られており、 黄燐による害について記した文献は、枚挙に暇がない。 その害は、以下の六つに分類できる。 摂取による害 酷い火傷 火傷に止まらない毒性 短期間の吸入による害 長期間の吸入による害 環境への害 以下では、戦前日本の…

どの目標に対して榴弾と黄燐を組み合わせるか

タコつぼに隠れている兵士に対して、榴弾と黄燐を用いる “シェイクアンドベイク”作戦については、すでにみたところである。 しかし、榴弾と黄燐が用いられるのは、、タコつぼの兵士に対してだけでなかった。 米陸軍野外教範 FM 23-91 MORTAR GUNNERY(1991)…

米軍の戦時国際法上における黄燐認識

米陸軍法務官が、Field Artillery誌上に 戦時国際法および火器支援の入門向け解説を書いている。 Captain Jon D. Holdaway The Law of War and Fire Support:A Primer for Fire Supporters Field Artillery May-June 2001 http://sill-www.army.mil/famag/20…