日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

日本史学専攻の学生は南京事件をどう調べるか

南京事件に限らず、どの歴史事項でも基本的に調べ方は同じです。
初学者の方には参考にしていただきたいです。


1.辞典
『角川日本史辞典』は、ふつう持っているはずですから、
これを引けば、簡潔に内容をつかめるでしょう。

また『国史大辞典』が研究室や図書館にあるはずですので、
それを引くのもいいでしょう。


2.通史
通史とは、例えば『岩波講座日本通史』や『日本の歴史』(講談社)など
古代から現代まで数人の執筆者により、時代順に叙述されているものです。
また各時代ごと、近代だけの通史も刊行されています。
通史の執筆者は、第一線のすぐれた研究者といえるでしょう。
通史のなかで事件がどう扱われているのか。
時代の流れのなかで事件をとらえます。


3.概説書
次に、事件に研究対象を絞った概説書を読むのがいいでしょう。
キーワードで検索して、
第一線の正統な研究者によるものを選びましょう。

正統かつすぐれた研究者は、『日本史研究』、『歴史学研究』、『史学雑誌』の
いずれかに論文を発表しているものです。

論文の検索については、国会図書館雑誌記事索引が便利です。
http://opac.ndl.go.jp/


4.個別論文および一次史料
個別論文では、問題がピンポイントにより詳細に論じられているでしょう。
また史料や論文の出典についても詳しくわかります。
一つの論文から芋蔓式に辿っていけるでしょう。
論文と言っても、研究誌だけではなく、著書に所収されているものもあります。


概説書や論文を読めば、その論拠となっている一次史料が
読みたくなるはずです。原典にあたって確認してみましょう。


(※07/12/4修正)