日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

昭11.9.18 社説「満洲事変満五周年」


■社説「満洲事変満五周年」『北海タイムス』昭11.9.18

顧みれば昭和六年九月十八日夜、奉天郊外柳条溝の満鉄線路が旧軍閥支那兵のため破壊され、それを導火線として爆発した事変が全満洲を混乱裡に捲き込んでから、今年で丁度満五年になる。

満洲国の進歩発展は、あらゆる分野において目覚しいものがあるが、先づ第一に指を屈しなければならないのは、事変当時三十万と註せられた匪賊が全満洲に跳梁し、殆ど手もつけられぬ有様であつたが、爾来皇軍の間断なき粛正工作により漸次減少し、今日では全満にわづか二、三万の匪賊が断末魔の喘ぎを続けてゐるに過ぎないといふ事である

第二は満洲国の基礎の強化と政治機構の革新を挙げなければなるまい。

次には満洲国における交通、産業、貿易等の各分野の驚くべき発展である。

もつとも満洲国が斯様に目覚ましい発展を遂げたればこそ、連盟を断然脱退して満洲国の育成に邁進せる我が日本の威信と面目とが保たれたものといふべく、更に一層我が国は満洲国の発達を支援し認識不足の連盟諸国を見返してやらなければならぬ。それがためには我が国民は満洲の凡ゆる方面に進出する必要があるが、特に今後は満洲移民に力を注ぐべきである。我が国は年々百万の人口増加があるに拘らず、海外における日本移民は全く八方塞りに陥つてゐるが、そのうち満洲国だけは唯一の例外である。


始点が虚偽であることが決定的に重い。


列国を見返すために発展してやる、と。