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日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

ルガノ会議(1976.1.28〜2.26)

黄燐

以下は、1976.1.28〜2.26開催のルガノにおける第二回特定兵器専門家会議の審議状況をまとめた国連事務総長報告書(1977)(竹本正幸・楠美智子「人道的理由で使用の禁止又は制限の対象となる焼夷兵器その他の特定通常兵器(一)」『関西大学法学論集』28-2、1978.6)による。


全体会議の状況は、外交会議第二会期におけると同様の状況を呈したという。

意見の主要な対立は、本質的には、ひきつづき作業計画に含まれている様々な種類の多数の特定兵器の使用を幅広く禁止すべしという諸提案を行なった二一ヵ国と、そのような提案は正当でないか或いは一層の研究を必要とすると考える多くの軍事先進諸国の間のそれであった。
(147頁)


21ヵ国とは、アルジェリア、オーストリア、エジプト、イラン、コートジボワール、レバノン、レソト、マリ、モーリタニア、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、ルーマニア、スーダン、スウェーデン、スイス、チュニジアタンザニアベネズエラユーゴスラビア、ザイールであった。


より深い討論は、一般作業部会で議論された。
焼夷兵器については、次のように述べられている。

一〇 この問題について政府専門家会議へ最初に提出された提案は、以前に二一ヵ国が行なった提案の改訂版であった。それは、第二次的または付随的な焼夷効果をもつ兵器、もしくは滲透効果または破砕効果と結合して焼夷的効果をもつ兵器で、特に航空機、装甲車両および類似の目標に対して使用するために設計された兵器を除き、焼夷兵器の範疇に属するすべての戦争手段の使用禁止を求めるものであった。
(148頁)


この時点ですでに、「付随的な焼夷効果をもつ兵器」と、航空機や装甲車などの破壊を目的として設計された弾薬を焼夷兵器から除外しようとする議論がみられる。


オランダは、焼夷兵器の広範囲の禁止に賛成するグループとそれに反対するグループとの間の妥協案を出した。それは、一般住民密集地域に対する焼夷兵器の使用を禁止するが、居住地内の特定軍事目標に対して、焼夷効果を限定し、予防措置がとられる場合などは、例外とするという内容を含んでいた。


オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、西ドイツ、フランス、アイルランド、イタリア、日本、フィリピン、アメリカの代表もオランダ提案に類似したものを提出した。


軍事先進諸国の代表は、焼夷兵器の非人道性や無差別性を否定する傾向にあったものと思われる。

焼夷兵器の分野における新しい資料という性格を帯びた多くの研究が報告されたが、そのほとんどは、これらの兵器、特にナパーム弾がその効果において必ずしも非人道的ではなく、無差別でもないことを証明しようとする傾向のものであった。若干の専門家は、これらの結論に異義を唱えた。
(151頁)


一般作業部会議長の最終声明では、焼夷兵器の問題に関して、
次のように述べられている。

焼夷兵器の使用の禁止または制限について何らかの合意に達することは、想像以上に困難なことであったが、この問題に関する異なった意見の間にある溝をうめるために、はじめて真剣に努力がかさねられた。
(159頁)