日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「シーケンシャル・アクセス」と「ランダム・アクセス」

再び、内田樹・鈴木晶『大人は愉しい』より。 内田氏は、書物とインターネットの違いを次のように述べています。 書籍とインターネットは、知への接近の仕方がまったく違っています。これを「情報のソース」としてひとくくりに扱うことから、いろいろな誤解…

中村隆英・伊藤隆編『近代日本研究入門』東京大学出版会 1977年

シンプルかつ的確な記述で、入門書として最適だと思います。 古本では手に入りづらいのですが、多くの大学で所蔵していますね。 第一部、第二部は、各執筆者の、時代や問題の捉え方、見解を述べたものです。 第三部は、「研究の手引」で、初学者の方は一読を…

ラカンと陰謀史観

ネットでは、その場しのぎのおよそ生産的でない議論が溢れていますが、 相手の議論に刺激されて論点が深まっていく議論をみると、心が弾みますね。 内田樹・鈴木晶『大人は愉しい』は、ふたりの「メル友交換日記」を活字にしたものです。 大人は愉しい (ちく…

歴史学者はイデオロギー的か

歴史学者はイデオロギー的だから、そんな研究は読まなくていいとか、 岩波書店は偏向している*1から、読まなくていいとかいう議論を間々見かけます。 しかし、そんな一言で捨て去ってしまっていいのでしょうか。 歴史叙述は、 事実関係を確認する記述 論を展…

早川和男『権力に迎合する学者たち』三五館 2007

著者は、神戸大学名誉教授。建築学者。「すまい学」の第一人者。本書の目次は、つぎのとおり。 はじめに 序章 格差社会論・護憲平和論の盲点 第1章 権力に迎合する学者たち 第2章 知識人の震災責任を問う 第3章 学問が「カネ」に支配される時 第4章 なぜ学者…

日本史学専攻の学生は南京事件をどう調べるか

南京事件に限らず、どの歴史事項でも基本的に調べ方は同じです。 初学者の方には参考にしていただきたいです。 1.辞典 『角川日本史辞典』は、ふつう持っているはずですから、 これを引けば、簡潔に内容をつかめるでしょう。また『国史大辞典』が研究室や図…