日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

南京事件

屍山血海的南京 敵在南京之空然暴行(續)

前エントリの続き。 新中華報 421 1938.3.1 屍山血海的南京 敵在南京之空然暴行(續) 嗣經國際救濟委員会竭力交渉結果、敵兵明目張胆之獣行略見減少。但其毀絶人性之殘暴程度、并未降低、於是不分晝夜、紛紛擧牆而入収容所、毎見婦女、不暇佔地、即強行姦淫…

屍山血海的南京 敵在南京之空然暴行

当時延安で発行されていた陝甘寧辺区政府機関紙『新中華報』についてはこれまで、第443期(1938.6.30)の「日本侵略者一年来の暴行」という記事が南京事件に関する最初の言及とみられてきたが、第420期(1938.2.25)に、事件を報じる記事が掲載されているの…

南京事件へのアプローチ

ココのコメント欄等をみて、思ったこと。 南京事件へのアプローチを分類してみる。 a. 歴史学者が自分の専門分野として研究する。b. 歴史学者が他の歴史学者の研究によって、事件を認識する。c. アマチュアが歴史学者の研究を踏まえつつ、自ら研究を進める。…

南京事件否定論者が歴史学者による入門書・研究を読まなくていいと考える論理を忖度する

Apemanさんのところの最近の経緯、南京事件を否定してしまうのは入門知識すら身につけてない証 - 模型とキャラ弁の日記や過去に見聞した議論に基づくが、多分に推測を加味し、整合したものも含まれる。否定論者のなかでは、明確に意識されておらず、複数の論…

南京事件の被害についてどのような史料に基づいて認定するか

歴史の事実をどう認定しどう教えるか―検証 731部隊・南京虐殺事件・「従軍慰安婦」作者: 笠原十九司,吉見義明,渡辺春己,松村高夫,高嶋伸欣出版社/メーカー: 教育史料出版会発売日: 1997/10メディア: ペーパーバック クリック: 19回この商品を含むブログ (2件…

一橋大学機関リポジトリ

http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/ 一橋論叢など雑誌論掲載論文や学位論文などがオンラインで閲覧できる。 南京事件関係では、吉田裕氏の論文が読める。 吉田裕「一五年戦争史研究と戦争責任問題 : 南京事件を中心に」『一橋論叢』97(2)、1987.2http://h…

「捕虜を殺す兵士・殺さない兵士」

■今野日出晴「捕虜を殺す兵士・殺さない兵士」『歴史地理教育』663、2003.12 兵士になることの意味をどう授業するのか。 当時の兵士の捕虜の認識、「刺突訓練」の状況を確認した後、 次のように進める。 例えば、君たちの指揮官が「捕虜の一人も斬れない」で…

笠原ゼミと南京事件

■笠原十九司「『南京大虐殺』と歴史研究―ゼミ討議を通して考えたこと―」『歴史地理教育』376、1984.12 1983年度、宇都宮大学教育学部の東洋史ゼミにおいて 笠原氏は、鈴木明『「南京大虐殺」のまぼろし』、洞富雄『決定版・南京大虐殺』をテキストに用いた。…

南京事件犠牲者総数の決定は立証目的ではなかった

笠原十九司『南京事件論争史』74-75頁において、 参考にされているのは、以下の記述である。 ■戸谷由麻「東京裁判における戦争犯罪訴追と判決」笠原十九司・吉田裕編『現代歴史学と南京事件』柏書房、2006 現代歴史学と南京事件作者: 笠原十九司,吉田裕出版…

その時々の南京事件否定説が必要

ふたたび、笠原十九司『南京事件論争史』より。 文部省の歴史教科書検定で南京事件の記述をさせまいとする姿勢は、現在にいたるも一貫しており、そのためには南京事件の事実は定説になっていないことを印象づけるために、その時々に否定説を書いた「歴史書」…

日本国民「再教育」の不徹底さ

南京事件論争史―日本人は史実をどう認識してきたか (平凡社新書)作者: 笠原十九司出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2007/12メディア: 新書購入: 2人 クリック: 200回この商品を含むブログ (23件) を見る 笠原十九司氏は、ニュルンベルク裁判で膨大な公判記録…

南京事件否定論の二重構造

■笠原十九司「南京事件論争の過去と現在」『世界』773、2008.1 否定論には二重構造があります。すなわち、<南京事件はまったくなかった>という全面否定と、<三〇万人の虐殺はなかった>という部分否定を意図的に混同させて用いる「論理」構造です。完全に…

日本史学専攻の学生は南京事件をどう調べるか

南京事件に限らず、どの歴史事項でも基本的に調べ方は同じです。 初学者の方には参考にしていただきたいです。 1.辞典 『角川日本史辞典』は、ふつう持っているはずですから、 これを引けば、簡潔に内容をつかめるでしょう。また『国史大辞典』が研究室や図…