日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

下院、修正案審議停止、外交交渉で決着へ

ロジャー議員によるチェンバレン決議案の修正には国務長官から中止の要求があり、下院側もそれを容認した。大統領はロジャー案を支持していなかった。結局、外国人徴兵に関しては、国内法で強引に立法化するのではなく、外交交渉を通じ、同盟国の合意を得た上で実施を図ることとなったのである。


Boston Daily Globe - Sep 21, 1917 LANSING ASKS DELAY ON ALIEN DRAFT BILL

  • 20日、ランシング国務長官の要求により、下院規則委員会は、ロジャー修正案の審理を月曜日(24日)まで延期した。
  • ランシングは、そのような重大で、規定をかなり拡大させた法案は、最初に大統領と協議したいと述べた。
  • 同時に、下院軍事委員会は、ロジャーに明日、修正案を提出するように要求した。ランシング長官は、ロジャー案の一部が徹底的すぎると考えていることを示唆していると考えられる。これは、条約上の権利があるのに、徴兵免除を主張したどんな外国人も、永久に市民権の付与を禁止する条項であると思われる。
  • 規則委員会は、法案強化あるいはウィルソン大統領およびランシング長官が正しいと確信しない限り、大統領あるいは国務長官による変更を容認するつもりはないとみられる。


「第三七五号」佐藤大使より本野外相宛 1917.9.27 JACAR:B07090170600

  • 国務省参事官ノ談ニ依レハ大統領ハ条約ニ免役ノ規定ヲ有スル連合国及中立国ノ人民ヲ徴集スルコトニ総テ反対ニテ其ノ方針ヲ以テ目下国務長官ヨリ議会ニ対シ修正勧告中ナリトノコトナリ」


New York Times - Sep 27, 1917 LANSING OPPOSES ALIEN DRAFT PLANS

  • 国務省とイギリス、フランス、イタリアとの間の交渉が始まった。それにより、該国民に徴兵免除を求める条約上の権利の停止が合意されるであろう。
  • ランシング国務長官は、26日、下院軍事委員会に出席し、ロジャーによる抜本的修正案を可決しないよう求めた。ロジャーは、ランシングの説明を聞いた後、修正案を撤回すると述べた。ただ彼は、徴兵法を改正し、徴兵比率を人口ではなく一定地域にいる適正男性に基づかせることを主張した。現行法では、人口に基づいているため、外国人の免除によってアメリカ市民に過度に負担がかかるのである。
  • 議員たちも、イギリス、フランス、イタリアは間もなく、徴兵免除を可能としていた条約上の権利を廃止することになることを理解したようである。もしイギリスが廃止を認めれば、状況を最大限に助けることとなる。委員会が示したデータによると、アメリカ在住適齢外国人の55%は、イギリス国民である。
  • ランシングは、委員会で、もしロジャーが推すような法案が成立すれば、深刻な結果を生じさせる報復を招くこととなると述べた。ロジャー修正では、メキシコ人を米軍に徴兵する可能性を有する。議員たちが述べたが、メキシコ政府が革命下、アメリカ人をメキシコ軍に徴兵しても不思議ではないであろう。


New York Times - Sep 28, 1917 HOLDS UP ALIEN DRAFT

  • 27日、下院軍事委員会は、外国人徴兵法案に関する議決の無期限延期を可決した。
  • デント委員長は、外国人徴兵立法と同等の効果を有する他国との交渉がなされているという国務省の声明が、投票に大きく影響したと述べた。交渉は、第二次徴兵の布告までに終了するであろう。