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日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

「兵営 昔は怖い処 今は良い処」

○橋亭主人『兵営百話』文陽堂、1901年、52〜53頁

◎嘗て昔、兵営生活なるものゝ感情的歴史は暗黒なる牢屋てふ文字を以て観察されたり、兵士夫れ自身は勿論、地方人に至るまで、
◎牢屋的想像は大に事実を酷大に失せしめたるの観ありといへども吾国一種の封建的習慣と国情不適の外国兵営制度を扶植したるとの結果は又多少の事実を認めずんばあらざりき、
◎軍紀風紀の厳格なるは可、然れども此等以外に行はれたる悪習慣惡馴致は新来の兵士をして殆んど困死せずんば憤死せしめたり、
◎然れども憲政開け社会の思想着々平等自由に向つて進み国家統一思想人心を融和し同胞相憐の道念日に発達すると共に、「古参は新参を困しむるもの」「古兵は嘗て受けたりし困しみを償ふには此新兵を以てす」等の制度的慣習、奴隷的待遇は日を追ひ年を経て消滅に帰し今や此の厭ふべき西南役の遺物なきが如し、


○「兵営 昔は怖い処 今は良い処」『読売新聞』1908.12.1

兵営内を丸で牢獄か地獄の様に心得て居たのは遠の昔の事今頃そんな旧式な思想を持つて居る者はなからうが何分我侭な青年の生活から何もが規律正しい軍隊生活に入ることだから初めの程の苦しさは当然である併し馴れるに連れて其味が忘られなくなる況んや近頃は陸軍部内に於ても兎角無味に落ち易い四角四面の生活に丸みを附けやうとて種々の方法を講じて居る


明治30年代に入ると、「昔の兵営は酷かったが、今の兵営は違う」という言説が散見される。兵営内の改善がなされたことは確かであろうが、私的制裁が無くなったわけではないだろう。