日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

日仏の兵営と女性

○橋亭主人『兵営百話』文陽堂、1901年、64〜65頁

仏蘭西では下士官に営内に官舎を作つてやつて、隊務が終れば其処へ帰て休むといふことにしてある、我等の知人が前年仏蘭西の兵営へ行つた時に、営内の一隅にある家の側に、嬰児のおしめが乾してあるのを見たから、其営の士官に尋ねた処が、アレは当営の下士の家族が居るのじやと答へたそうな、其れなら下士は其妻を携て営内に住居するわけかと再ひ尋ねると、左様下士をして長く隊務に従事せしむるには此外に良法がないと答へたゲナ。
畢竟外国では男女の関係が非常に神聖にしてある、又婦人の位置が日本の如く卑くないから、沢山の壮者の居る営内に女を置いても、別段の醜事を惹起さないからよいが、日本では然うはいかぬ、忽ち風俗壊乱問題を惹起すだらう。


日本において女性が置かれていた状況が想像できる。