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日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

州兵連邦所管化案の浮上

ガリソン大陸軍計画は大統領の支持を得られず、ガリソンは陸軍長官を辞任した。代わって議論の俎上に上ってきたのが、州兵の連邦所管化案であった。下院軍事委員会は州兵連邦所管化を中心とする再編案を採用し、一方、上院軍事委員会では、常備軍拡大を立法化しようとしていた。


New York Times - Jan 31, 1916 TO URGE FEDERALIZATION.

  • 今週、州兵協会の役員によって上院および下院の軍事委員会に州兵の連邦所管化が提案されるであろう。役員会長、フロリダのフォスター上級幕僚が30日、ワシントンに到着した。議会の前に、ガリソン大陸軍計画に反対を表明するであろう。同時に各州の州兵将校による聴聞会が開かれ、下院軍事委員会に対して、陸軍長官案の代わりに民兵の連邦所管化を立法するよう主張されるであろう。
  • フォスターは、州兵たちに大陸軍計画に賛同の声はない。彼らは連邦所管化されたがっていおり、州兵給与法、より的確に言えば州兵報酬法を支持している。もし議会が州兵を連邦所管化すれば、真に防衛目的のための軍隊となろう。大陸軍計画は州兵組織を構築するというより、引き裂くものとなろうと述べた。


The Lewiston Daily Sun - Feb 1, 1916 CALLS GARRISON'S PLAN IMPRACTICAL

  • 1日、ガリソン長官と州兵協会役員は、州兵の戦時連邦所管化ではなく大陸軍を創立するという行政部案をめぐり、決裂した。
  • 上院および下院の軍事委員会で、フロリダのフォスター上級幕僚を会長とする州兵委員会のメンバーは、大陸軍構想は実行不可能であるとし、議会立法による州兵の連邦所管化を主張した。
  • 陸軍省においてガリソン長官からチェンバレン上院議員への、州兵給与法案に反対する書簡が公表された。ガリソン長官は、州兵は常に純粋なボランティアに立脚してきた。もし法案が通過すれば、過去に全然上手くいかなかった制度に完全に身をゆだねることになってしまう。それは我々の安全を脅かすものであると述べている。


「陸軍長官『ガリソン』氏辞職ニ関スル件」珍田在米大使より石井外相宛、1916.2.19 JACAR:B03050817800 44/50

  • 「本月十日当国陸軍長官『ガリソン』氏ハ大統領ト意見ノ一致セサルヲ理由トシテ辞表ヲ提出…意見衝突ノ第一点ハ陸軍拡張問題第二点ハ菲律賓問題ニシテ陸軍問題ニ関スル『ガリソン』氏ノ主張ハ本年一月廿六日附送第廿九号送附ノ行政部案即チ護国軍案*1ヲ推指セントスルニ在リ又大統領ハ議会ノ形勢及ヒ世間ノ風潮カ該法案ヲ賛成セス寧ロ之カ対案タル民兵団*2利用主義即チ各州ノ民兵団ヲ拡張シ中央ノ所管ニ移スト共ニ服役教育及編成ニ改革ヲ施サントスル説ニ傾ケルヲ慮リ所謂行政部案ニ固執スルヲ不可ナリトスルニ在リ」


Evening Tribune - Feb 13, 1916 National Guard Insists Militi Can Be Federalized

  • 州兵は、州兵は連邦管轄化できない、国防計画の信頼し得る要素となり得ないとする批判への回答を提出した。これは、先週委員会に出席した代表者の証言によるものであり、勧告を呈示する法案準備によってより効果的となる。この法案は、上院軍事委員会の求めで準備され、チェンバレン委員長に提出された。
  • 州兵協会役員会によって求められたこの立法は、単なる給与法案以上のものである。それは完全な州兵規則であり、包括的な計画を含む。


Deseret News - Feb 14, 1916 NATIONAL GUARD FEDERALIZATION

  • 14日、国家緊急対応問題がまた議会の中心議題となった。国防問題聴聞会を終えて、上院軍事委員会のチェンバレン議員らは、法案作成を始めた。彼らは、予備防衛部隊創設のため、州兵連邦管轄化を具体化するだろう。
  • 下院軍事委員会のヘイ議員らは、大陸軍案を葬り、州兵連邦管轄化案に代わるための下院防衛法案を練り直している。


Telegraph-Herald - Feb 17, 1916 Push Work On Military Bill In Committee

  • 常備軍を16万から20万の間に増加させる法案および州兵給与法の下での州兵連邦管轄化計画は、両院で三週間以内に整うだろう。
  • 下院軍事委員会は、17日、州兵連邦管轄化法案に関する作業を始めるだろう。もし強力な法案が生まれたら、上院軍事委員会も上院で承認されると請け負うであろう。上院同委員会は、16日、常備軍増強に関する法案の作業を続けた。


New York Times February 22, 1916 ARMY OF 135,000, COMMITTEE VOTES

  • 21日、国防計画の二大法案のうちの一つが、下院軍事委員会で承認された。13万5000人の常備軍、州兵の連邦管轄化、士官学校生徒数の倍増、国営軍需工場の建設、予備兵創設が同法案の趣旨である。同法案は超党派立法として、10日以内に報告が準備されるであろう。
  • 大陸軍計画の投票はなされなかった。それはガリソン長官の辞任と大きく関係している。委員会の誰も同計画の審議を求めなかった。代わりに委員会は、防衛の第二次ラインを担う州兵強化の議論を続けた。
  • クラーク下院議長の私立軍学校への陸軍士官割当計画には、400人の生徒を指導する士官を派遣する法案が含まれるであろう。同法案は、予備士官を収容するための士官学校増築に26万ドルを計上する。下院は最近、海軍士官学校生徒数を増加させる法案を可決した。
  • 委員会により、州兵に入隊した将兵は、軍で三年間、予備兵として三年間、計六年間服務することが提案された。州兵の装備、訓練、規律は議会によって規定される。
  • 州兵への入隊は、大統領が緊急時、州知事の要請なしに州兵を召集し得ることへの了解を伴うものとされる。士官は、陸軍省による試験を通過して初めて任官する。州兵の訓練は、陸軍省が規定し得る。知事が州兵解散の権限をもっているという点に関して、同法案はそれを無効化する条項を含んでいる。
  • ヘイ委員長は、同法案は、大統領が緊急時、どのようにも州兵を利用でき、平時に連邦政府に優越的な権限を与えており、実質上の連邦管轄化であると主張する。
  • 州兵は給与原則の上に置かれる。入隊した将兵は、常備軍の四分の一の補償を受給できる。二等兵は年48ドル、大尉は500ドル、中尉は300ドル、少尉は250ドルである。
  • 法案は州兵を800人原則で、最大42万5000人を認可する。連邦所管化の条項は、多くの点で州兵協会試案を超えるものである。州兵提案は、各地域500人であった。下院委員会案は、州兵予備隊および召集した連隊の戦線派遣を規定する。
  • 州兵の連邦所管化に伴い、州兵や軍事学校で勤務する多数の陸軍士官の養成が必要となる。士官学校の収容力の倍増は、これに起因する。
  • 法案は、戦時には27万5000人への増加を可能とする基礎組織として、13万5000人の戦力を認可する。増加は、歩兵10個連隊、砲兵4個連隊、沿岸砲兵52個中隊、工兵15個中隊で完成される。さらに四個飛行中隊が認可された。軍需局の補完部隊、衛生隊を加えて、常備軍は実際には14万7000人に増加する。この増加は、将校が現在4500人に対して、約7000人を必要とする。
  • 州兵および軍学校出身の士官候補生中隊の設立が認可された。各中隊100人よりなる。任官後それぞれ常備軍で一年服務し、その後、予備役となる。士官候補生中隊への任用は、大統領によってなされる。
  • ヘイ委員長は、同法案のもとで、合衆国は、10年以内に120万人の予備役を持つであろうと述べた。予備役規模は、入隊に対応する。委員会は、現役期間を三年に短縮し、現役後、四年間の予備役に入れるという試案を持っている。現行法下の予備役は、11月1日でおよそ1万人となろう。短期現役と州兵の予備役編入で、10年以内に100万かそれ以上からなる強力な予備軍を建設できるというのが、委員会の見解である。
  • ヘイ委員長は、法案の形を整えるのにさらに一週間以上必要であると述べた。法案には、補則としてマッケラー法案が含まれるであろう。同案は軍事訓練学校設立に際し、連邦政府との共同を規定する。
  • マッケラー法案は、各州年間最低4万ドルの支出、政府援助8万ドルで、軍事訓練学校を設けることを提案する。3年あるいは4年の課程が、陸軍長官を長とする運営当局によって指示され、陸軍士官がアシスタント、文民が書記官となる。学生は、各郡ごとに試験によって選抜される。卒業生は、予備士官に任用され、7年間、陸軍長官による召集に応じる義務を帯びる。また夏季に野営地での補足的な訓練を受ける義務もある。
  • 下院軍事委員会が陸軍法案で忙しい一方、上院同委員会は、チェンバレン法案を基礎に1912年の軍事学校計画を下に、常備軍を約20万とする提案の作業に取り掛かっている。委員会案は、平時戦力を16万から20万に再編するものと思われる。
  • 常備軍に関しては、両院の折衷案が議会の決定になるだろう。下院軍事委員会は、上院で州兵の連邦管理化が認可されれば、常備軍拡大計画を承認するであろう。

*1:「コンチ子ンタル、アーミー」のルビがふってある。

*2:「ナシヨナル、ガード」。