日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

昭8.2.3 社説「満洲事変と米国の容喙」


■社説「満洲事変と米国の容喙」『北海タイムス』昭和8年2月3日


社説子は、米国のダブルスタンダードを批判する。

朝に国際平和を唱へ、夕に正義人道を説く米国が、最近の対外政策に於ては、非常なる強硬政策を採つてゐることが、窺ひ知られるのである。即ち米国はパナマ運河防禦を名とし、中米諸国に対しては武力行使、内政干渉、選挙監督、独立援助に■与し、パナマ運河が米国東西両海岸を連絡する重要なる■通線を形成するがため、経済上は勿論、米国海軍にとりて重大なる機動の中枢たらしめてゐる。

吾人は米国の為、パナマ運河の重要性を認識するが故に、米国のカリビアン政策に精進せることを以て、必ずしも帝国主義の汚名を冠して非難するものでない。
(中略)
今回、満洲事変に対する帝国の行動に関し、兎角の言辞を差しはさむが如きは、如何にその矛盾せるかを責ざるを得ない。


そして、カリビアン政策よりも満蒙政策がより切実であることを主張している。

彼は、単にパナマ運河を中心として、然もこれ無くとも、米国の繁栄は期し得らるゝに反し、我国の満蒙政策は、国民の生存に関するものであることの重大性に、大きな差異がある。我満蒙政策は正義の戦ひによりて得たる権益を、正常に防護するに出でゝゐる、その精神に於ても、大なる相違があるといはねばならぬ。


ここでも、満州事変はあくまで正当な防衛であるという認識がみられる。