日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

衆院委員会(46.7.9)における芦田均の第9条に関する発言


1946年7月9日、衆議院委員会において、
芦田均日本自由党)は第9条に関して、次のように発言している。

私は次の如き結論が正しいのではないかと思います。不幸にして自衛権の問題に付ての政府の答弁は、稍々明瞭を欠いて居ります。自衛権は国際連合憲章に於ても第五十一条に於て明白に之を認めて居ります。只自衛権の濫用を防止する為に、其の自衛権の行使に付ては安全保障理事会の監督の下に置くように仕組まれて居るのであります。憲法改正案第九条が成立しても、日本が国際連合に加入を認められる場合には、憲章第五十一条の制限の下に自衛権の行使は当然に認められるのであります。
唯其の場合に於ても、武力なくして自衛権の行使は有名無実に帰するのではないかと云う論がありましょう。併しながら国際連合の憲章より言えば、日本に対する侵略が世界の平和を脅威して行われる如き場合には、安全保障理事会は、其の使用し得る武装軍隊を以て日本を防衛する義務を負うのであります。又我が国に対しましても、自衛の為に適宜の措置を執ることを許すものと考えて多く誤りはないと思います。
(清水伸『逐条日本国憲法審議録〔増訂版〕』第二巻、原書房、1976年、96頁)


端的に言うと、
日本は、国連安保理の監督下に自衛権を行使する
自衛権の行使とは、主に国連軍が日本を防衛することである
となる。


「自衛の為に適宜の措置を執る」というのが具体的が何を示しているのか不明であるが、
文脈から言えば、「自衛隊」を持つことまでは想定していないように読める。