日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

宣戦布告前の空襲の当然視

■帝国在郷軍人会札幌支部『良民』防空号、1936、序言

近代科学の異常なる躍進、就中航空機の驚畏すべき発達増加は将来戦に於ての宣戦布告と同時に、否、寧ろ其の以前に強力なる空軍を以て一挙に国境を突破して敵国の政治経済の中心或は工業都市に対して爆弾、焼夷弾、毒瓦斯弾、細菌弾等の大威力を以て致命的攻撃を浴せ、是の最初の打撃を以て敵を制圧し戦意をなくせしむるの挙に出づることは明かであります。

露国の極東司令官「ブリュツヘル」は豪語しました。
「三噸の爆弾があれば全東京を大震災と同様に潰滅して見せる」と。

又欧米列強の識者は夙くから左の通り唱へて居るのであります。
「将来の戦争は主要都市、工業及戦略的中心に向つて不意の空襲をすることに依て開始せらるゝであらう。そして其の空中爆撃は戦争の初一歩から、然も宣戦布告をしない前に行はれるであらう」と。
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速戦速決思想と組み合わさった
宣戦布告前の空襲が当然視されている。