日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

植民地台湾

<植民地台湾>

  著者・編者 タイトル 所収・出版社 発行
1. 黄昭堂 台湾民主国の研究 東京大学出版会 1970
2. 山辺健太郎 解説 現代史資料21 台湾(一) 1971
3. 山辺健太郎 解説 現代史資料22 台湾(二) 1971
4. 大江志乃夫 植民地領有と軍部 歴史学研究460 1978.9
5. 大江志乃夫 植民地と軍隊 法学セミナー323 1982.1
6. 大江志乃夫 台湾植民地戦争と軍隊 日露戦争と日本軍隊 第1章第1節 1987
7. 向山寛夫 日本統治下における台湾民族運動史 中央経済研究所 1987
8. 近藤正巳 異民族に対する軍事動員と皇民化政策 台湾近現代史研究6 1988
9. 大江志乃夫 植民地戦争と総督府の成立 岩波講座近代日本と植民地2 1992
10. 荒川章二 台湾の植民地化と郷土兵 沼津市史研究4 1995
11. 近藤正巳 総力戦と台湾 刀水書房 1996
12. 檜山幸夫 台湾統治と台湾戦線 日清戦争 秘蔵写真が明かす真実 第6章 1997
13. 野間晃 台湾民主国日誌 北海道文教大学論集3 2002.3
14. 大江志乃夫 日本の台湾征服戦争 植民地文化研究1 2002.6
15. 林 正子 民衆が見た植民地征服戦争・台湾―『風俗画報』と『点石斎画報』を中心に 史苑63-2 2003.3
16. 北村嘉恵 台湾植民地戦争下における先住民「教化」策 北海道大学大学院教育学研究科紀要90 2003.6
17. 北村嘉恵 台湾植民地戦争下の先住民政策―撫墾署の設置と先住民の対応 日本史研究 494 2003.10
18. 近藤正巳 徴兵令はなぜ海を越えなかったか? 植民地帝国日本の法的構造 2004
19. 本康宏史 台湾における軍事的統合の諸前提 日本統治下台湾の支配と展開 2004
20. 小島晋治 日中戦争下の台湾・朝鮮人学徒兵のことなど(上)(下) 労働運動研究 復刊9,10 2004.12,05.4
21. 北村嘉恵 台湾先住民征服戦争下における蕃童教育所の制度化 北海道大学大学院教育学研究科紀要96 2005.6
22. 森理恵 台湾植民地戦争における憲兵の生活環境 京都府立大学学術報告 人間環境学・農学56 2005.12
23. 後藤乾一 下級兵士がみた植民地戦争 アジア太平洋討究9 2007.3
24. 戒能善春 日清戦争における台湾作戦―戦争か治安か― 防衛学研究37 2007.11


(※追記 09/09/10 2.および3.を追加。以降繰り下げ)


1.は、著者が台湾大学法学院卒業後、東大に留学し提出した学位論文を改訂したもの。台湾民主国抗日運動、台湾住民、清国との関係性を問う。2.および3.は史料集の解説であるが、多くの史料を引用しつつ、台湾接収〜統治確立、民族運動、共産主義運動、霧社事件について論じている。4.は、「日本最初の植民地領有である台湾植民地化が外征戦争という性格をもって開始」されたことを提起した。のち、柳沢遊ほか編『展望日本歴史20 帝国主義と植民地』(東京堂出版、2001)に所収されたが、このことは大江の提起が重要なものであると受けとめられていることを示している。6.は4.の台湾に関する部分を加筆したもの。13.は、史料ではなく、1.の台湾略史年表などから民主国の滅亡まで日々の出来事を順にまとめたもの。14.は大江の主張を概括しているが、台湾植民地戦争が日清戦争の後始末程度ではなく、日清戦争と同じかあるいはそれ以上に多くの犠牲者を出した戦争であったと明言している。18.は、台湾において1897〜1902年に実施された植民地人兵士養成の失敗の経験が、その後、長く語り継がれ、兵役賦課尚早論の根拠となったとする。20.は中国で独立をかかげて義勇隊を結成し、中国の抗日戦に参加した台湾人をとりあげる。23.は1912年に台湾歩兵第一連隊に現役兵として入営した僧・加藤洞源の覚書を紹介する。24.は、台南平定までの作戦について、本来治安活動として進めるべきなのに、戦争の延長で行動したことが根本的な問題であったとする。

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