日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

おぼえておきたい史料読解のコツ 3

今回の史料
川村参軍より達相成此旨相達 本営より
明10.9.5
ref:C09082101000


ポイント1 別紙

本文に続いて、別紙を添付するというのは、よくあるパターンです。
「別」の字が特徴的なので識別しやすいと思います。


ポイント2 合字
今回出てくるのは
「より」と読みます。

ほかにおぼえておきたいものとして、「こと」「トモ」「トキ」などがあります。
合字については、↓を参照してください。
http://gtrk.hp.infoseek.co.jp/yakumono.html


ポイント3 相聞

これまでも出てきたように、「相〜」というかたちです。
「聞」の字が特徴的なので識別しやすいと思います。


ポイント4 事

これも特徴的ですね。
末尾につくのでわかりやすいと思います。



読んでみましょう

判読文の表示は↓をドラッグ、文字色を反転させてください。

別紙之通リ川村参軍ヨリ達相成候条部下無漏御達可致此旨相達候事
 九月五日 本営
  左翼軍
   野嵜中佐殿


別紙
鹿児島屯在各隊使役之人夫共猥リニ人家ヘ押入家財衣什之類ヲ盗取候者有之趣相聞不都合之至ニ候条右様之所業見認候得ハ直ニ厳酷之処分ニ可及旨各隊長ヨリ無遺漏人夫江相達置可申此旨相達候事
 九月四日 川村参軍


  第二旅団


今回は、前回より手応えがあるかもしれません。
年は書かれていませんが、内容から西南戦争時のものとわかります。軍夫による略奪に対しては厳しく処分するようにとの指示です。年については、手っ取り早くはアジ歴の検索結果一覧の情報をみればわかります。史料画像から自分の目で年代を確認したいという人は、次ぎの方法があります。


それは今回の史料が含まれている簿冊の表紙をみることです。
アジ歴の史料は、簿冊として綴られている史料を一定のかたまりごとに細分化して画像化しているわけです。ですので、画像を見る際にどの階層にいるのかということを頭の片隅に入れておくことが重要です。簿冊全体を眺めるには、ひとつ上の階層に上がりましょう。


検索結果一覧画面で赤線で囲った、「密事雑書 明治10年8月4日〜10年9月12日」をクリックします。


すると、簿冊に収められている史料一覧が見られるはずです。307件中1番目の位置にある表紙を見れば、簿冊のタイトル、作成者とともに年代もわかります。


なお今回の史料は、256番目にあります。また246・247番目にも同じ史料があることがわかります。ということは、246・247番目の史料の方が判読しやすいものであったら、それを参考に読むこともできます。