生徒が社会科で出会う「問題」の三層構造
村井淳志『歴史認識と授業改革』教育史料出版会、1997年、130-132頁より。
- 作者: 村井淳志
- 出版社/メーカー: 教育史料出版会
- 発売日: 1997/12
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第一の層に属する問題は、学者・教師・大人にはすでに答えがわかっている問題である。
(中略)
子どもの方では、こういう問題がすでに教師や学者にとっては解決済みの問題であること、専門家以外の大人はこうした問題には無関心であること、したがってどうしても答えが必要になったときには、その時点で専門家が書いた参考書や専門事典などを調べればよく、今、解決のために頭をふりしぼるには値しないということを、実はよく知っているのだ。
これに対して第二層に属する問題は、学者・教師・大人も、それが問題であることはわかっていて、研究対象にもなっているのだが、なかなか解決の方途が定まっていないような問題である。
つぎに第三層に属する問題は、生徒を含む一般庶民や、ごくごく一部の鋭敏な社会科学者たちには問題の深刻さが直感されているにもかかわらず、既存の学問の枠組みでは問題として俎上に乗せることさえ難しい問題である。
第一層の、すでにわかっているであろうことを
教師があまり大上段からかざし続けると、
子どもたちは反発するでしょう。
大人への反抗から、常識をすべて否定しようとする
子どももいるでしょう。
大上段からの教科書的解説への反発は、
学者・教師・大人には、常識になっているが、
自分だけは真相を知っているという陰謀論に導くことがあるのかもしれません。