昭8.2.16 社説「支那の盲動」
熱河戦をきつかけに日本軍を平津の地にまで誘き寄せ、列強をして、実力干渉を行はしめ、第二の世界戦争を誘発して、日本に一泡吹かせやうとの策戦に傾きつゝあるものゝ如くである。身の程を知らぬ支那の如何にも考へ出しさうなことではある。
わが国は熱河に対してこそ満洲国との議定に基き、支那の盲動を断然排撃するの用意を有し、支那の出様一つによつては銃火を交ゆることも、もとより敢て辞するところでないが、平津の地にまで無用の軍を動かして、支那の仕掛けた罠にかゝるやうな愚を敢てする気遣ひはない。
日本が敗戦することになる基本的なコンセプトが表れている。
政務と軍務との統制、
中央と出先との統制がとれていないと「誘き寄せ」られることになる。
日支紛争に活躍してゐる欧米諸国は、何れも自己のために活躍してゐるものと見て誤りないであらう。故に支那に代つて、日本を膺懲すれば、その代償を支那に求めるのは、判りきつた話である。この意味からすれば、支那は満洲を固守せむとして、遂にその全土を失はむとしてゐるのである。
中国が欧米諸国に日本を「膺懲」させても、見返りを求められて、結局国を失うというのである。
支那が内政を整へ、鞏固なる中央政府の下に統一せらるゝに於ては日支紛争の如き自然に解決せらるゝ性質のものである。
満洲を忘れて、「中央政府の下に統一」と。