屈服による研究と教育の一体化
■田中彰「一般教育における歴史教育の問題」『歴史学研究』370、1971.3
ひとたび歴史研究と歴史教育との分離を認めるや、もはや歴史教育のなかに、天皇制権力=イデオロギーの介入・滲透を防ぐ歯止めはなくなる。他方、そうした天皇制権力=イデオロギーへの抵抗を放棄した研究は、もはや科学的な学問に値しないものとなる。いやそれどころか、今度は逆にみずからその権力=イデオロギーの合理化を担うものさえあらわれてくる。いわゆる皇国史観の歴史学をみればよい。それは学問の権力への屈服であり、屈服による研究と教育への一体化であった
時代がかった言い回しがされているが、
今日の状況を考えると、非常に予言的である。
分離された歴史教育が、権力にとっての突破口となる。