日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

ガリソン陸軍長官、大陸軍計画を推進

ガリソン陸軍長官は、チェンバレンと軍備増強の点で一致していたが、軍事訓練義務化については、現状では困難であるとしてその実現を悲観視していた。その代わりに、志願兵徴募による大陸軍計画を提案した。しかし大統領はその計画を支持していなかった。


New York Times - Jan 3, 1916 PRESIDENT TO PUSH FIGHT FOR DEFENSE

  • 多くの者が、状況は義務兵役によってのみ満たされると信じていることが明らかになってきた。この考え方は、政権とは一致しない。政権は、他のすべての手段によっても徴募が不足すると示されないかぎり、アメリカ人はどんな義務兵役の提案も容認しないと考えている。ガリソン陸軍長官は、例年報告でその問題に触れ、軍事的観点から考慮に値する多くの提案があるが、現在の状況下では、効果をなし得ないとする理由を示した。彼は、徴兵でも公立学校制度の国家的介入でも、憲法上の修正か、48州合同の立法によってはじめてなされ得るものであると述べた。
  • チェンバレン上院議員は、短期間軍での服務による義務的教育を規定する法案を示した。彼は、議論に十分な機会が与えられるよう議会や国家の注意をその問題へ引き付けたいと願っている。しかし、議会が訓練や兵役義務化の立法問題に関して、真剣に考慮していることを示すものはない。政権に関しては、その見解が、ガリソン長官の例年報告で、スイスやオーストリアの学校軍事訓練制度を採用することの様々な困難さ、なかでも連邦政府には公立学校制度に関する立法の権限がないことが示された。
  • 議会が義務兵役に関して深く考慮するとは考えにくいが、陸軍士官だけでなく、他の者の間でも、大陸軍をなすには、義務兵役が必要となるとの意見が優勢となっていることは否定できない。


Pittsburgh Press - Jan 22, 1916 Wilson Won't Insist On Continental Army .

  • 大統領は、ガリソン長官提案による大陸軍の編制を主張しないであろう。大統領は、チェンバレン上院議員の軍事教育義務化案に反対しているとされる。大統領はもし、軍事委員会が大陸軍計画は実現可能ではないと判断したら、それに従うと述べている。軍事教育一般義務化に関しては、大統領は民主党指導者に、アメリカ人が準備できているとは思えないし、状況がそのような急進的な前進を切実に要求しているとは思えないと述べた。


Milwaukee Journal - Jan 22, 1916 Army Heads For Garrison Plan Scott And Bliss .

  • ガリソン陸軍長官の大陸軍計画が、スコット少将およびブリス少将、それぞれ陸軍参謀総長および次長によって上院軍事委員会に提出された。
  • スコット少将は、同計画により、緊急防衛構築の際、最低五ヶ月節約できるだろうと述べた。彼は、予備士官部隊が戦時に各部署に割り当てられると主張した。また、需品係や電信手、無線手、運転手、技術者、御者、鉄道技術者など各種技術関係の予備部隊創設を主張した。在郷軍人会の代表者は、この種の部隊に入隊希望する者、1万5000人を名簿化したと彼に述べたという。
  • 両少将は、一般兵役義務は軍を構築する唯一の理想的な民主主義的方法であるが、現在、国はその提案を容認しないだろうとした。ブリス少将は、それはただ陸軍士官によって学問的問題として議論されると述べた。彼は様々な法案のなかで、唯一、陸軍省提案だけが、明確な方針を立てた満足のいくものと述べた。
  • チェンバレン試案のような常備軍25万への増加案は、全く不適切である。ガリソン長官提案のように、14万以上の徴募は、増給など報奨が無い限り、不可能であると彼は述べた。


New York Times - Jan 22, 1916 MAY INDORSE PLAN TO TRAIN ALL YOUTH

  • 21日、議会への提案のため、前陸軍長官リューク・E・ライト会長、前国務長官ロバート・ベーコン副会長が主導する、国家安全協会の会合が決定された。委員は、一般軍事訓練への賛同を自由に表明した。
  • ニューヨーク市長ジョン・ミッチェルは、次のように述べた。スイスやオーストリア流の男子一般軍事訓練を支持する。アメリカ人は遅かれ早かれ、それを理解するし、しなければならない。国難後ではなく以前に、採用されることを祈る。私は軍国主義に反対する。しかし、民主主義における市民権は基本的な義務を伴うのであり、成年男子の毎年数週間という穏やかで短期な市民訓練を強く支持し、それは市民武装権の条件として最低限必要であると考える。
  • 続いてチェンバレン上院議員は、一般兵役義務が国防問題の唯一の解決策であると述べたが、彼は人々がまだその準備できていないことを理解している。彼は、ガリソン長官の大陸軍計画は、世界強国としての安全を保証し、パナマ運河を守り、ヨーロッパあるいは日本からのあり得べき侵略を防ぐ備えとしての軍隊をもたらすために有用であると述べた。