日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

軍票とは何か

軍票とは、軍隊が戦地や占領地で発行する通貨です。

なぜ軍票を発行するのでしょうか。

軍隊が占領地において物資を強制的に取り上げると、
住民の反発を招き、作戦に支障を来たすからです。


●南方開発金庫調査課『軍票の回収に就いて』昭17.11、7頁

軍票は元来軍隊がその作戦遂行に当つて需要する物質並びに労務の調達に対し、単なる無償徴発に代り、之等の代償として交付するものである。もし代価を支払はずに強制のみによつて物資を徴発しようとすれば、住民の反感をそゝり、その物資が隠匿されるばかりでなく、破壊毀損される虞がある。


代価を払うとして、
自国通貨や相手国の通貨では駄目なのでしょうか。


相手国の通貨は、戦争中には簡単に手に入りませんし、
自国の通貨を使うことは、戦争の影響を強く受けて動揺を来たしたり、
また増発することによって、通貨価値が下がってしまいます。
第三国の通貨を使うのも簡単ではないので、
軍票の出番となるわけです。


●同上、7-8頁

現金購買といつても敵国の通貨は戦争中には容易に手に入らなく、普通に第三国の通貨を用ふことも出来ない。といつて自国の通貨を用ふることは戦争の一時的消長により貨幣価値が動揺したり、自国通貨の膨張したりして面白くない、そこで軍票が使用される