日本近現代史と戦争を研究する

歴史学の観点から日本近現代史と戦争について記します。

歴史学者はイデオロギー的か

歴史学者はイデオロギー的だから、そんな研究は読まなくていいとか、
岩波書店偏向している*1から、読まなくていいとかいう議論を間々見かけます。


しかし、そんな一言で捨て去ってしまっていいのでしょうか。


歴史叙述は、

  • 事実関係を確認する記述
  • 論を展開する記述
  • 史料の引用
  • 先行研究の引用
  • 著者による評価

などから構成されているわけです。


それを一言で切り捨てるような言動は雑すぎて意味を持ちません。


研究が成立するまでに史料批判
多くの研究者の相互批判をくぐり抜けてきていることも忘れてはいけません。



歴史学の研究をいかに見なくてもいいと思わせるか、思考の隅に追いやるか
という思いに彩られた議論があります。


見ないようにすることは、否定する心理として楽なのでしょうけれども、
実際に手にとって確認してみましょう。
きっと新しい発見があるはずです。

*1:[http://akiz-e.iza.ne.jp/blog/entry/139644/:title=ココ]では、網野善彦が「マルクス主義に批判的」であるとして、「網野の本」は、「岩波書店からは絶対に刊行されないと思われる」と述べられてますが、網野の『日本社会の歴史』(岩波新書)は有名であり、また『網野善彦著作集』もめでたく岩波書店から続々刊行されています。